矯正治療は痛い?痛みの原因や食事への影響を解説
最終更新日:2023.3.2

矯正治療は痛い?痛みの原因や食事への影響を解説

歯並びを整えたいと思いながら、矯正治療に踏み切れない原因はいくつかあると思います。その1つが矯正治療には痛みが伴うのでは、という漠然とした不安ではないでしょうか。確かに矯正治療を行う上でいくらかの痛みは避けられませんが、痛みの原因を理解すれば不安を大きく和らげることができます。以下では、まず矯正治療の概要をご説明し、治療期間に痛みを感じる原因について一つひとつ解説いたします。

矯正治療の概要

一口に歯科矯正治療といっても大きく分けて①ワイヤー矯正、②マウスピース矯正、③セラミック矯正の3つがあります。矯正治療に伴う痛みをきちんと把握するためには、まず歯科治療の概要について知っておくことが大切です。以下、それぞれの矯正治療の特徴を説明します。

①ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は矯正治療として最もよく知られている方法です。歯の表面にマルチブラケットを取り付け、そこにワイヤーを通して固定することで歯を少しずつ移動させながら矯正します。ほかの矯正方法に比べ様々な症例に対応可能であり、スピーディーに歯を動かすこともできるとされています。しかし、その分痛みも感じやすくなります。
また、矯正装置を歯の表側に取り付けるため、矯正装置が目立ってしまう点もデメリットといえるでしょう。矯正中であることをできるだけ人に知られたくなければ、矯正装置を歯の裏側に取り付ける治療法もあります。

②マウスピース矯正

マウスピース矯正は、ワイヤーやブラケットを使用せず透明なマウスピースを使うため、ほかの人から気づかれにくい点が特徴です。また、金属を使用しないため金属アレルギーのリスクを減らせます。
ただしマウスピースの取り外しは可能といっても、治療のためには基本的に1日20時間程度の装着が必要になるため、本人の自己管理が求められます。また、ワイヤー矯正よりも対応できる症例の範囲が狭い点もデメリットの1つです。
そのため、マウスピースによって全顎を矯正することも基本的には可能ですが、前歯部分のように一部のみの矯正に適しているといえるでしょう。

③セラミック矯正

セラミック矯正は、上述したワイヤー矯正やマウスピース矯正とアプローチが異なります。実際に歯を動かすのではなく、歯を削り、上からセラミックの被せ物をして、歯並びをきれいに見せる方法です。
セラミック矯正の最大のメリットは実際に歯を動かすわけではないので、短期間で歯の色や歯並び、歯の形を改善できる点です。また、歯を動かすことに伴う痛みも基本的にはありません。また、矯正治療は費用がかかることで知られていますが、セラミック矯正はワイヤー矯正やマウスピース矯正よりも費用を抑えることが可能です。
しかし、歯並びをきれいに見せるために自分の天然の歯を削らなければならないため、それが歯周病や虫歯の原因になることもあるようです。

矯正治療の痛みの原因

以上の3種類の矯正方法を前提として、矯正治療の痛みの原因を分析してみましょう。

矯正装置をつけたときの痛み

特にワイヤー矯正・マウスピース矯正の場合、矯正装置をつけたり、交換したりするときに痛みを感じる可能性があります。これは矯正装置によって歯を矯正したい方向に圧力をかけるためです。ただ、この痛みは矯正装置に慣れていくと和らいでいくといわれており、2、3日経過すればほとんどなくなるようです。

食事で噛むときの痛み

矯正中の食事の際に痛みを感じることもあります。特に矯正中は痛みに敏感になっていますし、痛みだけでなく、違和感を伴うこともあるようです。この痛みはワイヤー矯正で生じることが多いといわれていますが、個人差があり、噛むときに痛みを感じない方もいるようです。痛みを少しでも軽減するために、装着して間もない時期はできるだけ柔らかいものを選んで食べることが推奨されています。

口内炎や傷による痛み

口内炎や傷による痛みはワイヤー矯正で多くみられます。それはワイヤーの矯正装置が口の中の柔らかい皮膚に当たってしまうことが原因といわれています。特に裏側に矯正装置を付ける場合は唇や頬の内側だけでなく、舌も傷つけてしまうことがあります。対処法としては、硬く尖ったブラケットなどの矯正装置を柔らかい素材のもので覆う方法があります。一般的にはシリコンやワックスなどが用いられます。これに対してマウスピース矯正は歯全体にマウスピースを装着し、唇や口内を傷つけることがないため、口内炎や傷ができることは少数のようです。

歯茎の痛み

矯正によって歯を動かし続けるために歯茎に痛みが出る場合もあります。痛みが強い場合はワイヤーの力が強すぎるため、その力を調整することで痛みを緩和できます。加えて、矯正期間中は歯のお手入れに手間がかかるため、自己管理を徹底しないとお口の中の環境が不衛生になりがちです。それが原因で歯周病や虫歯になることもあり、歯茎の痛みに繋がることも考えられます。

痛みが続く期間

痛みの感じ方は個人差があり、痛みが続く期間も断定できないのが現状です。ワイヤー矯正の場合、一般的に矯正治療後3~6時間後に痛みが出始め、ピークは翌日もしくは翌々日というケースが多いようです。しかし3日から、長くても1週間程度で痛みはほとんどなくなるといわれています。

痛みの少ない矯正治療

上述した痛みは特にワイヤー矯正の場合に生じる傾向が高いといえます。痛みが心配という方は、ワイヤー矯正で使用する金属をステンレスワイヤーではなく、ニッケルチタンワイヤー等形状記憶合金にすれば、弱い力で長期間にわたって継続的に力を加え続けることが可能になります。
また、症例が複雑なものでなければマウスピース矯正を選択するのも1つの方法です。ワイヤー矯正は強めの圧力をかけることで歯を動かす治療法ですが、マウスピース矯正は段階的に歯を動かしていくため痛みは少ないといわれています。また、マウスピースによって口の中の皮膚や舌を傷つけたり、口内炎ができるリスクも低いことで知られています。
ただ、マウスピース矯正だからといって歯科矯正に伴う痛みがまったくないというわけではありません。矯正である以上、歯が動く際に歯槽骨内の歯根膜の伸び縮みが起きるため、痛みを避けることができませんが、過度に不安を感じる必要はありません。もし、マウスピース矯正をしている際に異常な痛みを感じるとしたら、それは歯が動いている痛みではなく、何らかのトラブルが発生している可能性もあります。矯正中にお口のケアを怠ってしまったことで歯周病や虫歯になっているのかもしれません。あるいは矯正装置自体が合っていない、マウスピースが奥まできちんとはまっていないなどの原因も考えられますので、すぐに歯科医に相談してみてください。
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まとめ

以上、3種類の矯正治療の特徴、メリット、デメリットをご紹介した上で、歯科矯正で痛みが生じる原因をいくつか取り上げました。矯正治療を検討している方には、どのような痛みを生じる可能性があるのかイメージを持っていただけたと思います。ワイヤー矯正が幅広い症例に対応できることは確かですが、痛みを少しでも軽減したいという方はマウスピース矯正も検討してみるとよいでしょう。自分の症例でマウスピース矯正が可能か知りたい場合は歯科医に相談してみてください。

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監修ドクターの紹介

非公開: 林 伸至
東京先進医療クリニック
歯科・口腔外科 診療部長
歯科新宿院院長 歯科医師
非公開: 林 伸至
Shinji Hayashi

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE

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