マウスピース矯正（インビザライン）の失敗例と回避するためにできることを紹介

マウスピース矯正は、ほかの矯正方法と比べて多くのメリットがあるといわれています。周りから目立たないこと、痛みが少ないこと、脱着可能なことなどです。しかし、マウスピース矯正をするにあたって「本当に理想通りの歯並びになるのか」といった心配や不安がある方も少なくないことでしょう。以下ではマウスピース矯正の中でも、最もメジャーな治療方法といってもよい「インビザライン」を中心にどんな失敗例があるのか、それらを回避するためにどうしたらよいのかを紹介いたします。

マウスピース矯正（インビザライン）とは

歯科矯正には大きく分けて、ワイヤー矯正、セラミック矯正、マウスピース矯正の3種類があります。マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べて、透明であるため装着していても目立ちにくく、取り外しも可能です。また、金属アレルギーの心配もないというメリットもあります。
一般的にマウスピース矯正は、歯の矯正具合に合わせて2週間から1ヵ月に1回マウスピースを作り直します。マウスピースは歯型をとった後に歯科技工士が一つひとつ手作りで作製します。そのため、歯科技工士の技術が矯正の効果を大きく左右するといっても過言ではありません。
マウスピース矯正の中でも最もメジャーなインビザラインとは、アメリカのアライン・テクノロジー社が作製するマウスピース型カスタムメイド矯正装置のことです。通常のマウスピース矯正とは異なり、インビザラインで歯型をとるのは最初の1回のみです。1回のみの作製でどのように正確で緻密な矯正が行えるのかと思うかもしれません。インビザラインでは、最初にとった歯型を３Dデジタル化し、全体の治療計画を立てます。全世界の臨床データが蓄積されており、それに基づいてマウスピースが作製されるため、緻密で精度の高い治療が可能になるのです。また、ほかの矯正方法に比べて通院も少なく、通常2～3ヶ月に1回ですみます。

マウスピース矯正（インビザライン）の失敗例

どんな治療法でも実際に行う前には不安がつきものです。それに対処するためには、生じうるリスクを慎重に考慮することが大切といえます。以下、マウスピース矯正（インビザライン）の失敗例を6つ挙げ、それぞれの原因について分析してみます。

失敗例①歯根の露出

歯の露出している部分を歯冠、それよりも下の部分を歯根といいます。つまり、歯根は通常歯茎に覆われて見えないはずですが、過剰な矯正力により歯根が露出してしまうことがあります。主な原因は無理な治療計画です。できるだけ短期間で矯正を終えたいのはわかりますが、余裕をもって治療を進めることが重要です。

失敗例②歯並びがさらに悪くなった

歯並びを整えるための矯正なのに、歯並びが悪化してしまうことがあるのでしょうか。よくあるトラブルは上の歯と下の歯の中心部分が口の中心（正中）からずれてしまうケースです。原因の１つにマウスピースの調整に問題があることが考えられます。

失敗例③噛み合わせが悪化した

審美性、つまり見た目はきれいに調整されたにもかかわらず、噛み合わせが悪化することもあります。通常は審美性が向上すると噛み合わせもよくなるはずですが、治療計画に無理があったり、マウスピースの調整に問題があったりすると、こうしたトラブルが発生することもあります。

失敗例④虫歯や歯周病になった

マウスピース矯正の期間中に虫歯や歯周病になることがあります。一般的なマウスピース矯正はワイヤー矯正と異なり矯正装置を取り外しできますが、マウスピースの衛生管理が不十分だったり、マウスピースを付けたまま食事したりすると、虫歯や歯周病を引き起こす可能性があります。マウスピースを定期的に取り外して、衛生的な状態に保つことでそれらのトラブルを避けられます。

失敗例⑤歯を削りすぎて隙間を埋める治療に時間がかかった

インビザラインでは、移動することを想定しスペースを空けるために歯を削ることがあります。もちろん緻密な作業で丁寧に行われる治療ですが、場合によっては歯を削りすぎてその隙間を埋めるために予定していた以上の時間がかかることもあります。

失敗例⑥抜歯で空いたスペースに歯が倒れてしまった

矯正治療の際には抜歯を伴うことがあります。抜歯によって空いたスペースに歯を平行移動するためです。しかし当初予定していた治療計画とは異なり、そこに歯が倒れ込んでしまうこともあります。そうなるとその歯をマウスピースで矯正できなくなり、治療に時間がかかることになりかねません。

マウスピース矯正（インビザライン）の失敗を回避するためにできること

せっかく歯並びをきれいにしようと思ってマウスピース矯正に踏み切ったのに、上述した6つのようなトラブルが発生するとがっかりしてしまいます。以下ではそうした失敗を回避するためにできる４つのポイントを挙げます。

技術力のある歯科医院・医師を選ぶ

失敗を回避するためにできる最も重要なポイントは、技術力のある歯科医院・医師を選ぶことです。以下、治療期間に患者側ができることについてご説明しますが、いくら自分でそれらを行ったとしても、歯科医院にマウスピース矯正の実績や技術力がなければ元も子もありません。歯科医院選びは慎重すぎるくらいでちょうどよいといえるでしょう。
マウスピース矯正（インビザライン）に関して、東京先端医療クリニックの技術をご紹介します。当院では3D光学スキャナ「iTero（アイテロ）」を導入しています。インビザラインの成功の鍵は歯型の型取りに左右されるといっても過言ではありませんが、この「iTero（アイテロ）」はより精密な測定が可能であるため、一人ひとりにぴったり合ったマウスピースを作製することができるのです。また、「iTero（アイテロ）」でスキャンしたデータをもとに専用の３Dソフトウェアを使用することで、歯の治療プロセスを綿密にシミュレーションできるため、上述したようなトラブルを回避することが可能になります。
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装着時間を守る

一般的に歯科医院では患者一人ひとりにあったマウスピースを作製後、実際にマウスピースを装着した治療の前に装着時間など注意点の説明があります。
マウスピースが脱着可能だからといって、自分が好きなように好きなタイミングで取り外してよいわけではありません。効果的に治療を進めるためには1日の装着時間を守ることが重要です。当院の場合、マウスピースの装着時間は1日22時間程度と指定させていただいています。その装着時間を守っていただき、矯正専門医が決めた治療計画をもとに段階的に新しいマウスピースに付け替えることで、きちんとした矯正を期待することができます。

マウスピースの洗浄を丁寧に行う

マウスピースの洗浄方法についても医師の説明どおりに丁寧に行うことが大切です。マウスピースの洗浄を丁寧に行わないと悪臭がしたり、黄ばんだり、カビが生えてしまうこともあります。
マウスピースは食事をするときと、歯磨きをするとき等は基本的に取り外し、水洗いしながら指先で優しく汚れを落とすようにします。外食などですぐにできないときは、アルコール消毒のティッシュなどを持参しておくとよいでしょう。
水洗いした後、マウスピース専用の洗浄剤を入れた水に数分つけます。それにより、臭いや黄ばみを防止できます。その後、すぐに装着するか、そうでなければ濡れたままケースには入れず、きちんと乾かすようにしましょう。

抜歯・IPRの必要性を確認する

上述したようにマウスピース矯正のトラブルの原因の１つが、抜歯やIPR（歯と歯の間に隙間をつくること）です。歯を大幅に移動する場合は必要な措置ですが、どうしても必要な治療かどうか歯科医にきちんと確認し、詳細な説明を求めることも大切です。

まとめ

以上、マウスピース矯正についてインビザラインを中心に説明し、治療過程で生じるかもしれない６つの失敗例を取り上げました。こうしたトラブルが頻繁に起きるわけではないとしても、自分の身に生じてほしくはありません。それらの失敗を回避するためにまずは信頼できる技術力の高いクリニックを選ぶようにしましょう。また、その後は医師の説明をきちんと受け、疑問がある点はその都度確認し、マウスピースやお口のケアをきちんと行うことが大切です。