
前歯の状態によって、人に与える印象は大きく変わります。前歯を整える治療法として歯科矯正が知られていますが、矯正の程度が重度でなければセラミックを使用する方法もあります。以下ではセラミックで前歯をきれいにする治療法について、気になる値段やメリット・デメリットなどを説明します。
セラミックの前歯被せもの治療
セラミック矯正は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正とは異なり、歯列に一定方向の力をかけて少しずつ動かすわけではなく、被せもので前歯の形や色、大きさを調整します。以下に具体的な治療法を2つ挙げます。
ラミネートベニア
ラミネートベニアは、セラミックを用いた治療法のひとつです。歯の表面を0.3~0.8ミリ程度を薄く削り、そこにセラミック製の「チップ」を貼り付けます。歯と歯の隙間がある、歯のねじれや色、歯の表面の穴が気になるなど、前歯の悩みも人それぞれです。ラミネートベニアによってそれらを隠すことにより、歯並びときれいな色の歯へ修復が行えます。
通常ではラミネートベニアの施術は、歯科医とのカウンセリングから始まります。まずレントゲンや診察で歯の状態を把握し、歯の状態によってはラミネートベニアではなく、全体矯正や部分矯正の必要がないか検査します。次に、実際に歯を削る前にシミュレーション用のチップを貼り付け、見え方や装着したときの感覚を確かめます。その後、歯科技工士によってセラミック製チップが作成されたのち、歯を削って接着剤でチップを貼り付けます。最後に接着部周辺を磨き、高さに凹凸が生じないように整えて完成です。
費用は1本あたり5~15万円程度、治療期間は施術完了後の確認を含め3~8週間といわれています。
セラミッククラウン
セラミックで作られたクラウン(被せもの)を、欠けてしまった歯や虫歯で失われた歯に被せる治療法で、一般的には「差し歯」とも呼ばれます。材質がレジン(プラスチック)であれば保険内での治療も可能ですが、天然の歯と比べて色が不自然だったり、劣化しやすかったりする恐れがあります。セラミックであれば自然な発色で天然の歯と馴染みやすく、審美性に優れているといえるでしょう。
一口にセラミッククラウンといっても、どの部分にセラミックを用いるかで違いが生じます。「オールセラミッククラウン」は内面、外面すべてにセラミックを使用したものですが、外面のみセラミックを使用し、内面はジルコニアや金属を使用するものもあります。費用は1本あたり8~18万円程度、治療期間は全体で4~8週間程度が目安です。
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セラミック歯の値段と寿命はどのくらい?長持ちさせるには?
前歯のセラミック治療のメリット
1.審美性に優れている
セラミックを用いて、前歯治療を行うメリットのひとつは自然な仕上がりです。単に白いだけではなく、艶や透明度の点で天然の歯に近い審美性を再現できます。また、セラミックは微妙な色の調整も可能で、目立つ前歯の治療に適した材質といえるでしょう。
2.アレルギーの心配がない
歯科治療で金属を使用する場合がありますが、体質によってはアレルギーのリスクがあります。口の中は温度や湿度が高い状態のため、金属は少しずつ酸化して溶け出していきます。また、溶け出した金属は体内に蓄積され、皮膚のかゆみや皮膚疾患を引き起こす危険性があります。金属に対するアレルギーの有無を、100%判定は現代医学では不可能であり、自分は大丈夫だと思っていても、ある日突然アレルギー反応が出るケースもあるようです。この点、セラミックは陶器と同じ材質のため、溶け出すリスクや金属アレルギーを心配する必要が少ないのがメリットのひとつです。
3.印象に影響を与えやすい部分を集中的に治療できる
歯科矯正に何を求めるかは人それぞれですが、人に与える印象をよくしたいと考えて治療する方に、前歯のセラミック治療は適しているといえるでしょう。ワイヤーやマウスピースを用いて全体治療を行う場合、時間とお金がかかります。歯列全体のバランスを整える点では全体矯正は優れていますが、矯正の程度が軽度で前歯の見た目を改善したい場合、前歯を集中的に治療することもひとつの選択肢です。
前歯のセラミック治療のデメリット
1.割れることがある
セラミックは白い陶製の材料であり、瞬間的に大きな力が加わったときに割れてしまう恐れがあります。そのため、強い力がかかりやすい奥歯にはセラミックではなく、ジルコニアなど硬度の高い材質が推奨されています。
2.健康な歯を削らなければならない
歯科矯正にセラミックを使用する場合、割れにくくするためにある程度の厚みが求められます。そのため、セラミックの接着や被せる場合、健康な歯を多めに削らなければならないことがあります。また、歯を削ったり接着したり、被せたりする加工が必要になるため仕上がりの見栄えは、歯科医院の技術によって左右されるといわれています。セラミックの本来のメリットを十分発揮させるためには、信頼できる技術力の高いクリニックを選ぶことが大切です。
3.寿命がある
どの材質でもそうですが、セラミックにも当然寿命があります。ただし、前歯は奥歯と比べてかかる力が少なく、急激にすり減るわけではないため寿命は比較的長めです。具体的にどれくらいの期間かはセラミッククラウンの種類によりますが、オールセラミックであれば8~10年といわれています。また、セラミックを用いた治療は二次虫歯が生じるリスクが低いといわれていますが、セルフケアをおろそかにしていると、歯周病などが原因でセラミックの交換が必要になることもあります。
セラミックの寿命に影響する行動
セラミックに寿命はありますが、少しでも長持ちさせるためにセラミックの寿命に影響する行動について知っておきましょう。
1.歯ぎしり
歯ぎしりや食いしばりは、セラミックの寿命に大きな影響を与えます。通常起きている間、食いしばりや歯ぎしりによってかかる最大咬合力は、約20Kgといわれています。しかし、さらに懸念すべきなのは睡眠時の歯ぎしりで、人によっては無意識のうちに100Kgもの咬合力がかかっています。天然の歯でも少しずつすり減るほどの力ですから、当然セラミックの寿命にも影響を与えてしまいます。
2.毎日のケア
歯磨きなど毎日のケアも、セラミックの寿命に影響を与えます。きちんとしたブラッシングで虫歯や歯周病を予防できますが、徹底的にケアしたいと考え、硬めの歯ブラシを使って毎日力を入れて磨いてしまう方がいます。1回のブラッシングでセラミックが削れる量は微々たるものですが、それを何年も続けるとセラミックの寿命を短くしてしまいます。
3.転倒などの事故
前述したように、セラミックのデメリットのひとつは割れやすい点ですが、転倒やスポーツ中などの事故で大きなダメージを受けると欠けることもあります。この場合、セラミックを交換するか、ひどい場合は天然の歯を一緒に抜歯することにもなりかねないため、十分気を付ける必要があります。
セラミックの寿命を長くする方法
セラミックの寿命を短くする行動を避け、少しでも長持ちさせるためにはどうしたらよいのか見ていきましょう。
1.ナイトガード
睡眠時にナイトガードを使用すれば、無意識のうちに歯ぎしりしてもセラミックの歯に強い力がかかるのを軽減できます。さらに日中の噛みしめがあると、ない場合よりも歯周病が約5倍進行しやすいため、噛みしめる癖がある場合は昼間もナイトガードの装着をおすすめします。
2.毎日の正しいケア
前述したように硬い歯ブラシはセラミックを削ってしまう恐れがあるため、毛先の柔らかな歯ブラシで優しく丁寧にブラッシングしましょう。また、お口の中の健康を保つためには、歯ブラシだけでなくフロスをして歯と歯の間の汚れをきちんと落とすことも大切です。
3.歯の状態を定期的にチェック
セラミックの状態も含め、1年に1回はレントゲン撮影といった歯の状態を定期的にチェックしましょう。以前に比べるとレントゲンによる被ばく量も10分の1になっていますので、身体への影響を過度に心配する必要はありません。
まとめ
セラミックで前歯を治療するメリットとデメリット、また治療後にセラミックを長持ちさせるために気を付けたい点について説明しました。この治療法が自分にあっているかどうかは、矯正が必要な程度や歯の状態に大きく左右されますので、まずは信頼できる歯科医院に相談することをおすすめします。
東京先進医療クリニックについて

「治療中の苦しさや恐怖心は仕方がない」「歯科へは何度も通うもの」と思っていませんか?東京先進医療クリニックでは、患者様のストレスに徹底的に寄り添うことに努めています。全身麻酔による歯科治療が可能であることも、そのうちの一つです。
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監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
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