奥歯のインプラント治療のメリット・デメリットについて解説
最終更新日:2023.3.2

奥歯のインプラント治療のメリット・デメリットについて解説

奥歯は噛みしめるときや、睡眠中にとりわけ大きな力がかかる部位です。そのため、奥歯のインプラントが強い負荷に耐えられるか、不安をいだいている人もいるかもしれません。ここでは奥歯の話題を中心に、インプラント治療全般の不安に対する答えやメリットとデメリット、また奥歯と前歯のインプラント治療との違いについても解説します。

インプラント治療とは?

インプラント治療は、歯を失った人のための治療法の1つです。さまざまな理由で歯を失ってしまった場合、取り得る選択肢は入れ歯、ブリッジ、そしてインプラント治療です。
「インプラント」は、歯科治療に限った方法ではありません。「インプラント」とは何らかの人工のパーツを、体内に入れることを指します。歯科治療においては、歯を失った人が天然の歯と同じように違和感が少なく、しっかりと食事をしたり、コミュニケーションしたりできるように人工歯を入れる治療をいいます。
人工歯はアバットメントと呼ばれる支台部に、アバットメントは顎骨に埋め込まれたインプラント体にそれぞれ接合されます。このように、インプラントは基本的に3つのパーツから構成されています。そして、これらのパーツは体内にとどまり続けるため、体に害を及ぼさず、できるだけ負担をかけない素材であるべきです。よく用いられる素材に、生体親和性の高いチタンやチタン合金があります。
インプラント治療には外科手術を伴い、通常は「2回法」と呼ばれる手法が採用され、手術は2回に分けて行われます。インプラント体が顎骨としっかり接合することで、はじめて人工歯は安定して違和感なく、日常生活を送れるようになります。そのためには、1回の手術だけでは接合までの時間が足らないこともあります。特に加齢などで骨の量が減っている場合は、1回目と2回目の手術に間隔を持たせ、接合の時間を取っています。具体的には1回目の手術で、下部構造であるインプラント体を顎骨に埋入させます。その後、3カ月~6カ月待って、インプラント体と顎骨がしっかり結合してから、2回目の手術でアバットメント・人工歯を接合します。
インプラント治療は外科手術を伴うため、誰でも気軽に受けられる治療法ではありません。例えば、心疾患や糖尿病を抱えている、骨粗しょう症などの持病を持っている人は、インプラント治療が可能か歯医者とよく相談する必要があります。
また、インプラント体を顎骨に埋め込むため、骨の成長が続いている子どもはインプラント治療が受けられません。女性は18歳、男性は20歳以降になると骨の成長が止まるといわれているため、その後はインプラント治療が可能になります。

奥歯をインプラントにするデメリット

治療費が自己負担

奥歯のインプラント治療を検討している人の中には、費用面を心配している人も多いでしょう。実際、インプラント治療は原則自由診療に当たるため、45万円~70万円程度の費用がかかり、全額自己負担です。
一括での支払いが難しい場合はローンを組めますが、その分金利が上乗せされることも注意が必要です。

治療期間が長い

ブリッジや入れ歯と比較して、治療期間が長い点もインプラントのデメリットといえます。上述したように、一般的には2回に分けて手術が行われ、最初の手術からアバットメント、人工歯を装着するまでは全部で最低約4カ月、長い場合は半年以上かかります。しかし、顎骨とインプラント体がしっかり結合するのには時間が必要であり、やむを得ないでしょう。

インプラント歯周炎のリスク

奥歯をインプラント治療するリスクの1つに、インプラント歯周炎があります。これはインプラント体と歯茎の間に歯周病菌が侵入し、炎症を起こす病気です。放置しているとインプラント体の脱落や、他の健康な歯にも悪影響を与えるリスクがあります。
歯周病菌が引き起こす病気は、インプラント治療だけが原因ではありません。インプラント治療をしてもしなくても、歯周病は口内環境を悪くします。いずれにしても、インプラント装着後は毎日丁寧なメンテナンスを続けなければなりません。

骨の量を確保するために別の処置が必要

奥歯は、前歯に比べて大きな力がかかる部位です。そのため、インプラント体を埋入させるには、十分な顎骨の量が必要になります。しかし、加齢などが原因で骨の量が少なくなっている場合、手術をするために追加の処置が必要になる場合があります。

代表的な方法は以下のとおりです。
・ サイナスリフト
・ GBR法
・ 骨移植

それぞれの方法にメリット・デメリットがありますが、中には痛みや感染リスクを伴うものがあります。また、骨の形成には通常、半年から1年程度の時間がかかるため、インプラント手術を含めて1年半程度の長丁場になってしまいます。骨の量が少ない人は、顎骨の形成まで含めて計画を立てることが必要です。

手術後もメンテナンスが必要になる

時間とお金をかけてインプラント手術を終えたら、その後は何もしないでよいわけではありません。上述したように、インプラント治療後はインプラント歯周炎のリスクがあるため、毎日のセルフケアが欠かせません。
それに加えて、歯科医院での定期的なメンテナンスも必要です。個々の症状にもよりますが、少なくとも半年に1回のメンテナンスを受けないと、インプラント脱落などの大きなトラブルが発生する恐れがあります。
忙しい生活の中、時間を取り分けて歯科医院に足を運ぶのは、手間がかかるように感じるかもしれません。しかし、歯のメンテナンスはインプラント治療をしたから行うわけではなく、仮に天然の歯であっても必要なことです。天然の歯でも、インプラントでも長く健康な状態で使い続けるためには、メンテナンスが不可欠だと割り切りましょう。

奥歯をインプラントにするメリット

残っている歯を健康な状態のまま保てる

歯を失った場合、別の治療法としてブリッジがあります。歯を失った部分にブリッジを入れ込むためには、その両端の健康な歯を削らなければなりません。しかし、健康な歯を削ることに抵抗を感じる人や、実際に歯を削ることで弱くなります。結果としてブリッジを入れるために削った歯が虫歯になり、最悪の場合は抜歯する必要が出てしまうと本末転倒です。
これに対して、インプラントであれば、健康な周りの歯を削ったり、何かの処置をしたりすることはありません。失われた部分に直接アプローチし、そこにインプラント体を埋め込むため、残っている歯を健康な状態のまま保てます。

審美性に優れている

ブリッジや入れ歯の場合、角度によっては固定している金具や、バネが見えてしまうことがあります。また、歯の色が不自然だと入れ歯と分かってしまう恐れがあり、人前で自信を持って笑ったり、話したりできないという人もいます。
この点、インプラントであれば、下部構造であるインプラント体と連結部のアバットメントは、ほとんど見えないようになっています。また、人工歯も自然な発色や色味を特徴とするセラミックを使うことで、天然の歯と見分けがつかないような審美性を持たせられます。

日常生活を快適に過ごせる

歯は、日常生活のさまざまな場面で機能する欠かせない部分です。入れ歯やブリッジが安定しない、あるいは痛みで食事の際に思いっきり噛めないという人もいますが、インプラントは土台を顎骨に埋入させるため、安定感の点では秀でています。食事そのものに感じる喜びもさることながら、噛む行為が億劫になってくると、食習慣や栄養状態にも影響してきます。結果的にお口の健康だけでなく、体全体の健康にも影響する恐れがあるのです。

微妙な調整が可能

ブリッジや入れ歯の場合、自由に高さを調整できず、微妙な角度変更も困難です。そのため、違和感があっても妥協しながら、使い続けることになりかねません。この点、インプラントであれば、治療時に噛み合わせのバランスを調整し、手術後の定期的なメンテナンスで違和感を解消できます。
また、インプラント体と上部の人工歯をつなぐアバットメントは、入れ替えることができるので微妙な角度調整も可能です。天然の歯は歯茎に対して、真っすぐ生えているわけではありません。周りの歯と調和し、全体で絶妙なバランスを保っているのです。
また、そもそも噛み合わせに違和感があっても調整ができないために、その状態を放置し続けるのは危険なことでもあります。痛みを感じるということは、別の部位に負荷がかかっている恐れが高いのです。つまり、別の健康な歯を傷つけてしまうことにもなりかねないのです。
この点インプラントでは、もともとの嚙み合わせに近い形で調整が可能で、健康な歯も含めてできるだけ長く、心地よく使い続けることができます。

メリット・デメリットは前歯と奥歯でほとんど変わらない

インプラント治療の原理は、前歯も奥歯も変わりません。確かに前歯のほうが顎骨の量が少ないなどの違いはありますが、インプラント体を固定してからアバットメントを入れ、人工歯を接合する形は同じです。インプラント手術のメインは2回法であり、十分な時間をかけてインプラント体と顎骨が結合させ、上部構造の手術に入ります。歯医者にとって奥歯のインプラント手術のほうが難しく、失敗するリスクが高いことは基本的にはありません。

まとめ

歯を失った場合に取り得る選択肢として、インプラント手術がブリッジや入れ歯よりも注目されている理由についてお分かりいただけたと思います。
デメリットとして①治療費が自己負担、②治療期間が長い、③インプラント歯周炎のリスクがある、④骨の量を確保するために別の処置が必要になる場合がある、⑤手術後もメンテナンスが必要になる、などが挙げられますが、次のようなメリットもあります。
①残っている歯を健康な状態のまま保てる、②審美性に優れている、③日常生活を快適に過ごせる、④微妙な調整が可能などです。
前歯と奥歯で顎骨の違いがあっても、インプラント治療の原則は変わりません。大切なことは信頼できる歯科医院を見つけて、自分に合った治療法を選択してもらうことです。もちろん、適切な治療をしてもらうためには、歯科医の技術力の高さは必須です。特にインプラント治療は虫歯治療とは異なり、外科手術を伴います。そのため、十分な実績を積んでいる歯科医院を探しましょう。
また、インプラント治療は時間もお金もかかる治療です。長い場合は1年以上にわたる治療になるため、自分自身で積極的に情報収集や歯科医院に質問し、納得した上で手術を受けることも大切でしょう。どの歯科医院を選べばよいか分からないときは、ホームページに掲載されている実績の確認や、直接足を運んでデメリットも含めて誠実に答えてくれるかどうかで検討してみましょう。

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監修ドクターの紹介

非公開: 林 伸至
東京先進医療クリニック
歯科・口腔外科 診療部長
歯科新宿院院長 歯科医師
非公開: 林 伸至
Shinji Hayashi

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE

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