
インプラント治療後のトラブルとして、インプラントが外れてしまったり、欠けてしまったりする恐れが考えられます。原因はさまざまですが、もしもそのようなトラブルが起きた場合、すぐに対処する必要があります。
この記事ではインプラントが取れてしまう原因や対処法、やってはいけない行動などについてまとめています。
インプラントが取れた!まずはどこが外れたか確認をしよう
インプラント治療は主に3つのパーツで構成されており、それぞれが大切な役割を持っています。もしインプラントが取れてしまった場合、まずはどの部分が外れているのか確認しましょう。
上部の見えている部分は「人工歯」、あごの骨に埋め込み人工歯根の役割を果たしているのが「インプラント体」、この2つをつないでいるのは「アバットメント」です。
具体的な対処方法は後述していますが、これらのどれが取れた・外れたかによって、処置方法などが変わってきます。
どこが取れた?外れた箇所別の原因とは
インプラントが取れる・外れる原因は、パーツごとに異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
人工歯
上部構造である人工歯は、一般的にセラミック系の素材で作られています。審美性に優れているものの、過度な力が加わると割れてしまう恐れがあります。
その他、アバットメントと人工歯は歯科用のセメントや、スクリューと呼ばれるネジで固定されています。食いしばりや歯ぎしりなどで強い力が加わると、セメントやスクリューに負荷がかかり、外れてしまうケースがあるのです。
アバットメント
アバットメントは、人工歯と人工歯根(インプラント)をつなぐ土台です。人工歯と同じく強い力がかかり過ぎると、取れてしまうケースがあります。その他、ネジがしっかりと閉まっておらず、外れる場合も考えられます。
また、アバットメントが外れてしまった場合、基本的に上部構造である人工歯も一緒に取れてしまいます。
インプラント体
インプラント体はあごの骨に固定させ、人工歯根の役割を果たしています。このインプラント体が取れたり抜けたりした場合、あごの骨とインプラントがしっかりと結合で来ていなかったなど、大きな問題が起こっている恐れがあります。
外れる原因としては、インプラント周囲炎やインプラント自体の破損、手術時の感染対策不足による感染症、喫煙や他の疾患が関係しているなどが考えられます。
インプラントが取れる場合の歯科医院側の原因
パーツ別で外れてしまう原因をお伝えしましたが、歯科医院側が原因で取れてしまうケースをより詳しく解説します。
原因① 細菌感染が原因で抜け落ちる
インプラント手術には、歯茎の切開やあごの骨にインプラント体を埋め込むなど、大掛かりな手術を行います。手術室や器具の衛生管理が不足していると、手術箇所に細菌が入り込み感染症を招く恐れがあります。
また、手術部位以外が歯周病に感染している、お口の中の歯周病菌が多いなど、手術に適してしない口腔環境であったケースも考えられます。
原因② 手術時のダメージ
インプラント手術時に想定以上に骨が硬い、骨に穴をあけるドリルの影響で熱を持ち過ぎたなどが原因で壊死してしまい、抜け落ちる場合があります。
歯科医院ではこのようなトラブルが起こらないように、徹底した事前の精密検査が必要です。しっかりと術前検査を行っている歯科医院であれば、リスクを低減できます。
原因③ かみ合わせなどの調整不足
普段から歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、まずマウスピース治療から行います。もし、症状の改善が見込めない場合は、インプラント治療は推奨されません。
歯ぎしりや食いしばりの症状を放置して手術を行ってしまうと、過度な力が加わりすぎて人工歯の破損、インプラント体があごの骨と結合できないなどのトラブルが発生します。
また、かみ合わせの調整不足によって、同じく大きな力がかかり過ぎているケースも考えられます。
インプラントが取れる場合の患者側の原因
インプラントが取れる原因は、歯科医院だけではありません。
原因① 術後のメンテナンス不足
インプラント手術が完了しても、定期的なメンテナンスが必要です。定期検診を受けなかったり、口腔内のケアを怠ったりすると、インプラント周囲炎に感染する恐れがあります。
原因② 他の疾患による影響
インプラント体はあごの骨に埋め込むため、骨粗しょう症や糖尿病といった他の疾患が影響して抜け落ちるリスクがあります。
原因③ 喫煙による口腔内への影響
喫煙は毛細血管を収縮し、血行不良を招くといわれています。そのため、インプラント治療を希望する方は、禁煙をおすすめします。
インプラントが取れた際の応急処置・対処法
インプラントが取れてしまったときは、早急に歯科医院に連絡をして、受診の予約を取ります。その際、受診するまで硬いものを食べたり、触ったりしないように注意しましょう。人工歯やアバットメントのみが外れた場合も同じく、残ったパーツには極力触れないようにしてください。
取れてしまったインプラントの保管方法
どのパーツが取れた場合でも、再受診の際には持っていく必要があります。そのため、間違えて捨ててしまわないように、大切に保管してください。
また、パーツが破損してしまうと作り直しが必要となり、治療費が高額になる恐れがあります。タッパーやプラスチック製のケースなどで保管すると、さらに破損する恐れが低減します。
歯医者に行く際、どう伝える?
どのような状況で外れたのかは、歯科医院が原因を調べるために大切な情報です。
できるだけ伝えるべきこと
「いつ」「どのようなときに」「現状のお口の様子」は、できるだけ歯科医院へ伝えましょう。具体的には、「食事で硬いものを食べていたら外れた」「前からぐらついていた」などです。
聞いておくべきこと
インプラントが外れた原因によっては、生活習慣の見直しが必要となります。例えばインプラント周囲炎が原因の場合、他の部位へも影響している恐れがあるため、生活習慣やセルフケアの見直しについて、しっかりと聞いておきましょう。
インプラントの応急処置で絶対にやってはいけないことは?
お口の状態を悪化させないために、応急処置ではやってはいけない行動があります。
抜けたまま放置する
インプラントが欠けたり、抜けたりしたまま放置してはいけません。人工歯やアバットメントが取れている場合、さらに破損が進んで再治療が難しくなります。
インプラント体が抜けたまま放置すると、細菌感染の恐れが出てきます。どのケースであってもすぐに再受診しましょう。
再び口の中に入れる
外れた・取れただけと思っていても、パーツが破損している恐れがあります。また、インプラント体が抜け落ちた場合は、インプラント周囲炎を発症している恐れがあるため、再び口の中に入れて元に戻そうとする行為は止めましょう。
再び口の中に入れると、他のNG行動と同じく細菌感染のリスクが高まります。
接着剤でくっつける
ただ外れてしまった、取れてしまった場合であっても、自身で接着剤などを使って直すのも危険です。接着剤が人体へ影響を与える恐れや、余計に口腔内の状態を悪化させるリスクが高まります。
まとめ
インプラントが外れる・取れるケースはまれですが、リスクはゼロではありません。メンテナンス不足や他の疾患、食いしばりなどが原因で外れるケースがあります。もし、何かしらの原因でインプラントが取れてしまったときは、早めに歯科医院を受診しましょう。
こうしたリスクをできるだけ回避するためには、事前の検査と術後のメンテナンスが大切です。定期的に通いやすく、信頼できる歯科医院での治療をおすすめします。
東京先進医療クリニックについて

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監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
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