
理想的なEラインではなくなる主な原因は口ゴボと受け口ですが、歯科矯正で整えられる場合もあります。矯正の際に抜歯が必要なケースも見られますが、それは症状次第です。本記事では、Eラインの概要、きれいなEラインではなくなる主な原因、歯科矯正できれいなEラインを目指せるケース、抜歯の必要性などを解説します。
Eラインとは?
Eライン(エステティックライン)は顔を横から見て、鼻先と下顎の突き出た部分を結んだ線のことです。1954年にアメリカの歯科医師ロバート・リケッツ氏が提唱した概念で、横顔の美しさを評価する基準のひとつとして知られています。一般的に、上唇と下唇がEラインの少し内側にある状態が理想的とされており、そのためには以下の条件を満たす必要があります。
綺麗なEラインの条件
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ただし、欧米人に比べて鼻が低い日本人は、上唇と下唇がEライン上にあっても、美しい横顔の範囲に入るといわれています。人差し指をまっすぐにしたまま、鼻先と顎先にあてるとEラインはチェックできるので、ぜひ試してみてください。
ここで、横顔について気になるデータを紹介します。カネボウ化粧品の調査(*1)によると、「外出前に鏡で横顔をチェックする」と答えた一般女性の割合は24.0%でした。一方で「他人の横顔を意識することがあるか」の問いには、一般女性の78.0%が「意識する」と答えています。つまり、自分ではそれほど横顔を気にしていなくても、他人からはよく見られている可能性が高いのです。
*1 出典:株式会社カネボウ化粧品「30代のモデル女性100名と一般女性100名に聞く美意識調査」
きれいなEラインではない主な原因とは?
全ての人が、きれいなEラインをしているわけではありません。主に次の2つによって、Eラインは崩れるとされています。
- 口ゴボ
- 受け口
それぞれがどのようなものかを解説します。
1:口ゴボ
口ゴボ(くちごぼ)とは横から見たときに、口元が前方に出て盛り上がっている状態です。上下どちらかの前歯、または両方の前歯が突き出ていること、いわゆる出っ歯が主な原因です。アジア人に多い傾向があります。
そして、出っ歯になる原因は、遺伝や成長によるもの、習慣によるものに分かれます。
出っ歯の原因
遺伝や成長によるもの |
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習慣によるもの |
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口ゴボにはEラインが崩れること以外に、次のようなデメリットも見られます。
- 見た目が良くないため口元を手で隠す、口を開けて笑うのを控える
- 出っ歯は口を開いた状態になり、口腔内が乾燥しやすい
- 乾燥して細菌が繁殖すると、虫歯や歯周病のリスクが高まる
- 噛み合わせが悪いので、食べ物をうまく噛めずに胃腸や顎関節への負担が増す
- 発音に問題が出る場合もある
2:受け口
受け口とは、下の前歯が上の前歯より出ている状態です。受け口には、歯並びの乱れによるものと、骨格異常によるものがあります。そして、噛み合わせが通常とは逆になります。
受け口の主な原因は、次のとおりです。
受け口の原因
遺伝や成長によるもの |
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---|---|
習慣によるもの |
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受け口だと、Eラインの他に以下のような点にも不安が残ります。
- 食べ物を噛み切れずに消化不良を起こす
- 噛み合わせが通常とは逆になるため、発音が悪くなる(特にさ行やた行)
- 顎を自由に動かせず、顎関節に負担がかかる
- 歯並びの乱れから全身のバランスも崩れ、肩こりや腰痛が起きる
歯科矯正できれいなEラインになることはできる?
Eラインが崩れていても、歯科矯正で改善できる場合があります。一般的な歯科矯正では、次のような手順できれいなEラインを目指します。
主な手順(マウスピース矯正の場合)
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歯科矯正する際は、セファロと呼ばれる顔の骨格を調べるレントゲン装置を使用し、歯の傾きや顎の位置、歯並びなどを正確に評価します。
そして、歯科矯正でEラインの改善効果が期待できるのは、次のような場合です。
- 出っ歯で口元が突き出ている場合
- 歯並びに問題のない口ゴボの場合
- 歯並びの乱れによる受け口の場合
- 骨格異常による受け口の場合
- 下顎が引っ込んでいる場合
具体的な治療方法を紹介します。
1:出っ歯で口元が突き出ている場合
出っ歯で口元が飛び出ている状態は、Eラインの改善が見込めるケースです。それほどひどくない出っ歯なら、透明のマウスピースで矯正します。目立ちにくいマウスピースで美しいEラインを目指せるのがメリットです。重度の出っ歯の場合は、ワイヤー矯正での対応となります。ワイヤー矯正とは、ブラケットと呼ばれる装置を歯に装着し、そこにワイヤーを通して徐々に歯を移動させる方法です。適応範囲が広いものの、矯正装置が目立つ・費用がかかりやすいなどのデメリットもあります。
2:歯並びに問題のない口ゴボの場合
歯並びは整っているのに口ゴボになっている場合、原因として考えられるのは、顎全体が飛び出ていることです。このケースでは、抜歯で歯を後ろに動かすスペースを作る矯正治療で、改善を目指します。すっきりした口元にして、きれいなEラインに近づけます。
3:歯並びの乱れによる受け口の場合
歯並びに問題がある受け口では、歯科矯正で歯並びを整えると、下顎の前歯を後ろに動かせる可能性があります。そうすると、噛み合わせが正常な状態に近づいて受け口も改善し、崩れたEラインは解消される傾向が見られます。基本的な治療方法は、マウスピース矯正とワイヤー矯正です。これらで対応しきれなければ、抜歯して歯を動かすスペースを作る方法も検討されます。
4:骨格異常による受け口の場合
遺伝で下顎が上顎よりも大きくなっている受け口の場合は、外科手術での対応が一般的です。手術では、顎の骨を切って受け口を改善させます。ただし、術前矯正が必要で、その際は一時的に受け口の度合いがひどくなる傾向があります。これは、手術で顎の骨を切って調節する際に、十分な移動量を確保してEラインを改善しやすくするためのものです。満足いく効果を得るには必要なものなので、過度に心配しないようにしましょう。
5:下顎が引っ込んでいる場合
下顎が後ろにあることでEラインが崩れている場合には、出っ歯を解消すれば良いと考えがちです。しかしこのケースでは、下顎の骨の成長度合いに問題がある、下顎後退症(かがくこうたいしょう)の恐れも考慮しなければなりません。一般的に下顎後退症は、外科手術が必要です。手術では、下顎の骨を切って前方に動かします。手術が必要なため、心身の負担は大きくなるものの、Eラインの大幅な改善が期待できます。下顎後退症は気道が狭くなる傾向もあるので、術後は呼吸面での改善効果が見込めるのもメリットです。
Eラインを作るには抜歯が必須?
症状次第で、抜歯が必要かどうかは異なります。そのため、状態によっては抜歯なしで、きれいなEラインを目指せます。しかし、抜歯しないと歯を動かせる範囲が狭くなるのも事実です。そうなると、理想のEラインには近づけにくくなり、大きな改善が難しくなるケースも見られます。
抜歯が必要な場合とは?
以下のようなケースでは、抜歯が必要です。
抜歯が必要なケース
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現在はアンカースクリューを使用した治療が普及しているため、従来は抜歯が必要だったケースでも、避けられる可能性があります。アンカースクリューとは、チタン製の小さなねじのことです。顎の骨に埋め込むと、歯を効率的に動かせるようになります。以前は難しかった方向へ歯を移動させられるようになったので、抜歯したくない方は歯科医院で相談してみましょう。
Eラインを矯正するなら東京先進医療クリニック
矯正してきれいなEラインを手に入れたい方は、東京先進医療クリニックにご相談ください。当院では、次の2つの矯正方法を提供しています。
- マウスピース矯正
- セラミッククラウン
それぞれの特徴を紹介します。
1:マウスピース矯正
マウスピース矯正の特徴
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マウスピース矯正と聞くと、粘土のような印象材を口に入れての型取りを思い浮かべるかもしれません。しかし、当院では従来の型取りが不要な、3D光学スキャナー「iTero(アイテロ)」を導入しています。印象材を口に入れずに歯型が取れるため、患者さまに負担がかかりにくい体制が整っています。そして、以下の画像が当院での矯正前と矯正後のイメージです。
作成するマウスピースは透明なので、人から気付かれにくいのもメリットです。自由に取り外しできることから、食事や歯磨きの際も邪魔になりません。ただし、マウスピース矯正は、1日約22時間の装着が必要です。装着時間が短かったり装着を忘れたりすると、治療期間は長引きます。したがって、ある程度の自己管理能力も求められます。
2:セラミッククラウン
セラミッククラウンの特徴
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セラミッククラウンとは、セラミックという素材で作られた被せ物(歯)を使用する方法です。通常は虫歯の治療で、歯が大きく削られたときなどに、残っている歯根へ被せますが、部分的な矯正にも利用できます。よって、理想的なEラインを叶えたい方にもおすすめです。
セラミッククラウンは色を調整しやすいため、Eラインの改善だけでなく、歯の美しさも追求できます。健康な歯を削る必要があるので、治療の際には痛みを伴いますが、当院ではオプションで笑気麻酔と全身麻酔を用意しています。セラミッククラウンでの矯正をお考えの方は、こちらも検討してみてください。
まとめ
きれいなEラインの条件を満たせない場合は、主に口ゴボと受け口が原因だと考えられます。しかし、それらが原因で理想的なEラインではなくても、歯科矯正で改善できるケースがあります。例えば、出っ歯で口元が突き出ている場合や、歯並びに問題のない口ゴボ、歯並びの乱れによる受け口などです。現在は、アンカースクリューを使用した治療の普及により、症状次第では抜歯せずにEラインの改善を目指せます。当院では、患者さま一人ひとりに合った矯正治療をするために、丁寧なカウンセリングを心がけていますの、「Eラインを何とかしたい!」とお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
東京先進医療クリニックについて

「治療中の苦しさや恐怖心は仕方がない」「歯科へは何度も通うもの」と思っていませんか?東京先進医療クリニックでは、患者様のストレスに徹底的に寄り添うことに努めています。全身麻酔による歯科治療が可能であることも、そのうちの一つです。
先進的な機器を揃えた設備と高度な技術を持った医師、スタッフ一同でご来院お待ちしております。
監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
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