
矯正治療が必要な悪い歯並びの特徴は、前歯が斜め、歯がデコボコに生えている、出っ歯などです。このような形で歯並びが乱れていると見た目が良くないため、人前で口を開けるのを気にする方もいます。ここでは、矯正治療が必要な悪い歯並びの6つの特徴とその直し方、歯並びを悪くしないために家でできる8つの対策を紹介します。
矯正治療が必要な悪い歯並びとは?
一般的に矯正治療が必要とされる悪い歯並びには、次のような特徴があります。
- 前歯が斜め
- 歯がデコボコに生えている・八重歯がある
- 前歯が噛み合わない
- 下顎が飛び出ている
- 出っ歯
- 上下の前歯が突き出ている
それぞれの概要や主な原因、どのような影響があるか、直し方について解説します。
1:前歯が斜め
子どもの前歯が斜め(上から見たときにハの字)に生えているケースの多くは、成長とともに改善が見込まれるため、それほど心配はありません。しかし、大人になってから前歯が斜めになるケースも見られます。
これは、歯ぎしりが原因のひとつとして考えられます。歯ぎしりがひどいと、歯が欠けたり割れたりすることがあり、歯並びもさらに悪化するかもしれません。
前歯が斜めになっている場合、歯にブラケットとワイヤーを装着するワイヤー矯正、マウスピース矯正、被せ物によるセラミック矯正が治療方法として挙げられます。なお、歯周病の進行や親知らずからの影響などで前歯が斜めになる場合もあり、その際はそれらの治療から改善を目指します。
2:歯がデコボコに生えている・八重歯がある
歯が部分的に重なってデコボコ、またはガチャガチャに生えている状態を「叢生(そうせい)」といいます。八重歯も叢生の一種です。
叢生の多くは、顎が小さいことが原因で起こります。顎が小さいと後から生えてくる永久歯は、通常の歯列から外れてしまうため、歯並びが悪くなってしまうのです。叢生は歯が重なり合う部分が多く、きれいに歯を磨くのが難しいので、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。口内と歯が近いと、頬や唇を噛みやすいのも特徴です。
叢生の直し方は、状態によって異なります。永久歯が生え揃った後だと、抜歯も視野に入れて矯正しなければなりません。それほどひどくないケースでは、歯を削って改善を目指せる可能性があります。
3:前歯が噛み合わない
奥歯では噛んでいるのに、上下の前歯は噛み合わずに開いたままになる場合は、「開咬(かいこう)」と呼ばれる種類の歯並びに分類されます。
主な原因は、おしゃぶりや指しゃぶり、舌の悪い癖、骨格の遺伝といわれています。開咬のデメリットは、前歯で食べものを噛み切れない、滑舌が悪くなる、虫歯や歯周病になりやすいなどです。加えて、奥歯を失いやすい点にも不安が残ります。
開咬の治し方では、さまざまな方法での矯正が選択肢になります。具体的には、歯並びの内側に専用装置を固定する顎顔面矯正、ワイヤー矯正、マウスピース矯正です。骨格が大きな要因になっているときは、顎の骨を切る外科矯正も検討されます。
4:下顎が飛び出ている
下の歯が上の歯よりも前になり、下顎が出ている状態は「受け口」です。噛み合わせが通常とは逆になり、下顎前突症(かがくぜんとつしょう)や、反対咬合(はんたいこうごう)ともいわれます。
受け口は遺伝によるもので、指しゃぶりや舌で下の歯を押し出すなどの悪い癖、上顎の成長不足が主な原因とされています。受け口で懸念されるのは、顎関節への負担が増すことや、不十分な咀嚼(そしゃく)によって起こる消化不良です。噛み合わせが悪いと全身のバランスが崩れ、肩こりや腰痛などに悩まされる恐れもあります。発音が悪くなりがちな点も特徴です。
受け口の直し方のポイントは、マウスピース矯正やワイヤー矯正などで、上の前歯を押し出し、下の前歯を後ろに移動させることです。ただし、受け口の度合いがひどいケースでは、外科矯正での対応となります。
5:出っ歯
顔を横から見たときに、上の前歯や上顎が極端に出ている場合は「出っ歯」です。専門用語では、上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれます。
出っ歯の原因は遺伝や幼少期の癖、日常生活での癖が主なものとされています。口をうまく閉じられないため口呼吸の要因になり、口臭が悪化したり歯周病にかかりやすかったりするのがデメリットです。話しづらさを感じる場合や、スポーツをしているときに接触や転倒によって前歯を損傷しやすい点にも注意が必要です。噛み合わせの悪さから、顎関節症につながる事態も想定されます。
出っ歯の一般的な直し方には、マウスピース矯正やワイヤー矯正、インプラント矯正、セラミック矯正、外科矯正が挙げられます。
6:上下の前歯が突き出ている
上下両方の前歯が突出している状態は、上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)といいます。口を無理に閉じると、口元全体が盛り上がります。
顎に対して歯が大きいこと(遺伝)や、舌で前歯を押す癖などが主な原因です。口が閉じにくいため口内は乾燥しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。転倒時に歯や骨を折る、唇を切るリスクも生じます。
一般的には、ワイヤー矯正やマウスピース矯正といった直し方を選びますが、矯正の際に前歯を引っ込めるスペースがなければ抜歯が必要です。そして、これらで対応できなければ、外科手術で顎を引っ込めることになります。
歯並びを悪くしないために家でできることはある?
これからお伝えする8つの方法には、歯並びが悪くなるのを防げる可能性があります。どれも自宅にいながらできる方法なので、ぜひ試してみてください。
1. 鼻呼吸を意識する
2. 指しゃぶりや爪を噛む癖をやめる
3. うつぶせ寝を改善する
4. 頬杖をやめる
5. よく噛んで食べる
6. 姿勢を良くする
7. 舌の位置を正す
8. 虫歯を予防する
1:鼻呼吸を意識する
鼻呼吸ではなく口呼吸をしていると、下顎と舌が下がるため、口周りの筋肉が十分に発達できずに、受け口や出っ歯などになるリスクが高まります。口呼吸は口の中が乾燥しやすくなるので、虫歯や歯周病にかかる確率を上げてしまうのも特徴です。
そして、テレビを見ているときなどに、口をぽかんと開けていることが多い場合は、口呼吸になっている恐れが高いと考えられます。歯並びを悪くしないためには、日頃から鼻呼吸を意識して予防に努めることが大切です。口呼吸の改善においては、寝るときに鼻呼吸を促す専用テープを貼る方法がよく知られています。
2:指しゃぶりや爪を噛む癖をやめる
子どもがよくする指しゃぶりは、歯並びを悪くしてしまう原因のひとつです。また、大人の場合は、ストレスや不安などを感じたときに爪を噛む方がいますが、これも歯並びのためにはやめたい癖です。
指しゃぶりは前歯に力がかかり続けるため、出っ歯や前歯が噛み合わない開咬につながる恐れがあります。爪を噛む癖も前歯への負担が増すことから、出っ歯への懸念が高まります。
こうした悪い癖をやめる方法のひとつは、苦み成分が配合された専用のマニキュアを使用することです。
3:うつぶせ寝を改善する
うつぶせ寝は、顎に大きな負担をかけるため、歯並びへの悪影響が心配されます。また、顎の関節は、可動域が広く四方八方に動きます。逆に考えると、うつぶせ寝で頭の重さがかかる間は、それだけ顎を奥や横に動かしてしまうのです。人間の頭は約4〜6kgあるとされており、うつぶせ寝はそれだけ顎への負担が増すことを意味します。また、上述した口呼吸は、うつぶせ寝のときにしやすいともいわれているので、注意しましょう。
うつぶせ寝を改善したい方は、寝るときに敷布団と体の間に、丸めたハンドタオルを置いてみてください。自然に寝返りを打ちやすくなって、うつぶせ寝を予防できる可能性があります。
4:頬杖をやめる
頬杖をついた状態は、頭の重さが顎にかかるため、下顎を後ろに移動しやすくなります。加えて、歯並びが内側にズレていく傾向も見られます。また、左右の手それぞれで同じように頬杖をつくのは難しいものです。そうなると、左右の顎に異なる圧力がかかり、歯並びをより悪化させるリスクも生じます。頬杖は体全体のゆがみにもつながるので、肩こりや腰痛に悩まされる方も少なくありません。
頬杖をやめるには、机に鏡を置いてチェックしたり、肘をつけないようにメモを置いたりする工夫が有効です。
5:よく噛んで食べる
きちんと噛んで食べると舌や顎など、顔周りの筋肉の発達が促進されて歯並びに良い影響があるとされています。唾液が分泌しやすくなり、虫歯や歯周病の予防効果にも期待が持てます。
ただし、軟らかい食べものばかりでは、噛む回数が少なくなるためおすすめできません。食べるときの噛む回数の目安は、一口で30回程度といわれています。加えて、顔周りの筋肉のためには、適度な硬さのものを食べることも必要です。
6:姿勢を良くする
姿勢の悪さには、食べものをきちんと噛めなくなるリスクが伴います。そして、口の中で噛む機能が正しく働かないと、顎や口周りの筋肉が十分に発達できません。例えば、猫背のまま食事をすると、前の方の歯で噛む機会が多くなり、バランスが崩れてしまいます。結果として、歯が並ぶ場所を満足に作れなくなる恐れがあります。つまり、姿勢の良し悪しは、それだけ歯並びに大きな影響を与えるのです。食べるときに正しい姿勢を維持するには、適度に運動して、一定の筋力をつけることも大切です。
7:舌の位置を正す
舌で歯の裏側を押す癖や、上下の歯の間から舌を出す癖などで、通常とは異なる位置に舌があると、顔周りの筋肉が正しく機能しなくなるため歯並びを悪くしやすいといわれています。上記のような舌癖の自覚はなくても、口がポカンと開いている、滑舌が良くない、声が小さいなどの特徴に当てはまる場合は、舌の位置が本来の場所よりも低くなっているかもしれません。舌の正しい位置は、舌先が上の前歯の裏にあり、舌全体が上顎の裏についている状態です。
舌の位置を正すなら、口腔筋機能療法(MFT)やガムトレーニングがおすすめです。
8:虫歯を予防する
毎日の歯磨きを丁寧に行い、虫歯や歯周病にならないように気をつけることも、歯並びのためには重要です。虫歯などで最終的に歯を失うと、正しい歯並びを保てなくなる場合があるからです。ちなみに、8020推進財団が2018年に実施した「第2回 永久歯の抜歯原因調査」(*1)によると、歯を失う原因の1位が歯周病(37.1%)、2位が虫歯(29.2%)でした。
正しい歯磨きのポイントは、歯ブラシを歯の面に直角に当てて、軽い力で小刻みに動かすことです。また、歯と歯茎の間に歯ブラシを斜めに当てた状態で動かし、歯周ポケットの汚れをかき出すやり方は、歯周病予防に役立ちます。
*1 出典:公益財団法人 8020推進財団「第2回 永久歯の抜歯原因調査」
歯並びに関するQ&A
Q.歯並びは親から子どもに遺伝するって本当?
歯並びそのものは遺伝しません。そのため、親の歯並びが悪くても、子どもが同じようになるとは限りません。しかし、骨格や歯の大きさなど、歯並びに影響する要素は遺伝することから、結果として親に似た歯並びになるケースが見られるのです。
また、一般的に遺伝の影響は3割程度で、残りの7割程度は生活習慣や癖といわれています。したがって、正しい生活習慣を身につけたり、良くない癖を改善したりすれば、悪い歯並びになるリスクは抑えられる可能性があります。
Q.歯並びを手で直すことは可能?
手で一定の力をかけ続けても、歯並びは直せません。手で歯を動かすこと自体は可能だといわれていますが、乱れた歯並びは適切な力加減で直すことが重要です。矯正治療にかかる費用がもったいないからと手で直そうとすると、それまで以上に歯並びが悪くなったり、歯を傷つけてしまったりするかもしれません。歯並びを直したいときは、歯科医院に相談しましょう。
東京先進医療クリニックでの歯並びの治療例
東京先進医療クリニックでは、セラミッククラウン(被せ物)やマウスピース矯正といった方法で、乱れた歯並びの改善を目指します。
次の画像は、セラミッククラウンでガタガタした歯並びを改善した例です。


治療詳細
- 上下顎12本
- 素材:ジルコニア
当院では、ジルコニア以外にもさまざまな素材を取り扱っているので、予算や希望の仕上がりに合わせた対応ができます。
また、従来のマウスピース矯正では、印象材を口に入れての型取りが必要でした。しかし当院では、3D光学スキャナの「iTero(アイテロ)」を導入しているため、印象材不要でマウスピースを作成できます。マウスピースは取り外し可能で、さらに透明で目立ちにくいのもメリットです。
東京先進医療クリニックでは、カウンセリングに時間をかけて、患者さま一人ひとりに合った治療方法を提案していますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
前歯が斜めに生えている、下顎が飛び出ている場合などは、矯正治療が必要との認識が一般的です。とはいえ、どのような歯並びをしているかで、矯正方法は異なります。また、歯並びを考える上では、生活習慣や悪い癖を直すことも大切です。こうした歯並びの矯正方法や、生活習慣などの改善の仕方をより詳しく知りたい方は、まずは歯科医院に相談してみましょう。
東京先進医療クリニックについて

「治療中の苦しさや恐怖心は仕方がない」「歯科へは何度も通うもの」と思っていませんか?東京先進医療クリニックでは、患者様のストレスに徹底的に寄り添うことに努めています。全身麻酔による歯科治療が可能であることも、そのうちの一つです。
先進的な機器を揃えた設備と高度な技術を持った医師、スタッフ一同でご来院お待ちしております。
監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
セラミッククラウンの関連記事
一覧を見る



マウスピース矯正(インビザライン)の関連記事
一覧を見る



当院までのアクセス
-
所在地:
〒107-0052 東京都港区赤坂6-6-3
-
アクセス:
東京メトロ千代田線「赤坂」駅より
徒歩3分
東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王」駅より
徒歩7分
東京メトロ銀座線・丸ノ内線「赤坂見附」駅より
徒歩10分