
セラミック歯は、審美性に優れている自費診療の詰め物・被せ物のことです。セラミック歯は保険診療の詰め物・被せ物よりも値段が高めなので、長く使用できるのか気になる方が多いのではないでしょうか。セラミック歯には複数の種類があり、それぞれ特徴と値段が異なります。ここでは、セラミック歯の値段と寿命を紹介すると共に、寿命が縮まる原因や予防策も解説します。
セラミック歯の種類と値段
セラミック歯によって、メリット・デメリット・値段が異なります。セラミック歯の種類ごとに詳しく見ていきましょう。
オールセラミック
オールセラミックは、全てがセラミック(陶器)でできた詰め物・被せ物のことです。天然歯と見分けがつきにくいほどの白さと透明感を持ち、経年による変色もほとんどありません。また、歯垢や食べかすなどの汚れが付着しにくく、むし歯の再発のリスクが低いことも特徴です。ジルコニアセラミックと比べると強度が低く、費用が高い傾向があります。
オールセラミックの値段は、詰め物が約6万~8万円、被せ物が約8万~22万円、ブリッジが約12万~20万円です。
e-max
e-maxは、二ケイ酸リチウムガラスを主成分とするセラミックの詰め物・被せ物です。審美性に優れているだけではなく、オールセラミックの弱点である強度を補うことができます。 e-maxは、全てがニケイ酸リチウムガラスでできており、フレームに別の素材を使用するセラミック歯よりも高い強度を持ちます。また、フレームの素材の色が透けて見える心配もほとんどありません。e-maxの値段はインレーが約4万~6万円、クラウンが7万~10万円です。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは人工ダイヤモンドともいい、高い審美性と強度を持つ詰め物・被せ物です。嚙み合わせが強い奥歯に被せ物をする場合は、金属素材を使用することが一般的でした。ジルコニアセラミックは高い強度を持つため、噛み合わせが強い奥歯に使用できます。それでいて天然歯のような審美性を持つため、口を開けたときに万一奥歯が見えても目立ちません。
その一方で、天然歯よりも硬いことにより、噛み合う歯がすり減るリスクもあります。ジルコニアセラミックの値段は、詰め物が約4万~6万円、被せ物が約10万~20万円です。
ジルコニアってどんな素材?セラミックとの違いをメリット・デメリット・料金から比較
ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックとは、レジンにセラミックを混ぜた詰め物・被せ物です。セラミックとレジンのどちらにも属さない素材ですが、実質的にはレジンに近いともいわれています。セラミック歯は自費診療のため、費用が高いことが難点ですが、ハイブリッドセラミックはレジンとセラミックを混ぜ合わせることで、他のセラミック歯よりもコストを抑えることができます。一方、経年によって変色しやすいというデメリットもあります。
ただし、セラミックを混ぜ合わせているため、保険適用のレジンよりは変色しにくいです。ハイブリッドセラミックは、保険適用と自費診療で使用する素材が異なります。保険適用よりも自費診療の方が審美性に優れているといわれています。
また、保険適用のハイブリッドセラミックは、被せ物にしか使用できません。また、歯科医院が厚生労働省の定める施設基準を満たしており、歯科補綴治療の知識を十分に持ち、なおかつ3年以上の経験を持つ歯科医師が在籍している必要があります。さらに、厚生労働省が定める歯科用CAD/CAM装置による製作や歯科技工所との連携など、さまざまな条件を満たさなければ保険適用のハイブリッドセラミックは提供できません。
適用できるのは第1・第2小臼歯、第1・第2・第3大臼歯です。ただし、第1・第2・第3大臼歯に適用できるのは金属アレルギーの人に限ります。このように保険適用のハイブリッドセラミックを使用するには複数の条件を満たす必要があるため、まずは歯科医院への相談が必要です。
ハイブリッドセラミックの値段は、詰め物が約3万円、被せ物が約4万~8万円(保険適用で約1万円)です。
メタルボンド
メタルボンドとは、金属の土台にセラミックを焼き付けた補綴物です。メタルボンドの土台は頑丈な金属製のため、セラミックの欠点を補うことができます。また、表面はセラミックのため、天然歯に近い審美性を持ちます。ただし、オールセラミックには白さや透明感が劣るため、比較検討する際はサンプルを必ず確認しましょう。
メタルボンドは金属を使用するため、金属アレルギーの方には向きません。また、金属イオンが溶け出すことで歯茎が黒ずむ場合があります。さらに、角度によって金属の土台が見える他、歯周病によって歯茎が退縮した際も金属部分が見える恐れがあります。
メタルボンドの被せ物の値段は、約8万~15万円です。
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セラミックの種類は?種類ごとの特徴とおすすめを解説
セラミックの歯の寿命
セラミック歯の寿命は素材によって異なりますが、10年~20年ともいわれています。ただし、10年未満で交換が必要になる場合もあれば、20年以上使用できる場合もあります。これほどまでに寿命に差があるのは、セラミック歯の劣化のスピードが口腔内の状況で大きく異なるためです。
セラミック歯が寿命を迎えるとどうなる?【種類別】
セラミック歯は寿命が近づくと、すり減ったり割れたり、欠けたりしやすくなります。素材ごとの一般的な平均寿命は、以下の通りです。
種類 | 平均寿命 | |
---|---|---|
1 | オールセラミック | 約7年~10年 |
2 | e-max | 約7年~10年 |
3 | ジルコニアセラミック | 約7年~10年 |
4 | ハイブリッドセラミック | 約5年 |
5 | メタルボンド | 約7年 |
長く使用したい場合は平均寿命だけでなく、素材の強度に注目するのもポイントです。強度が高いとされているのは、ジルコニアセラミックやメタルボンドです。
また、奥歯は前歯よりも噛む力が強く、歯1本に100㎏の力がかかるといわれているので、相応の強度がなければ耐久性は期待できません。セラミック歯の素材は、こうした点も意識しながら選ぶ必要があります。
セラミック治療の寿命を縮める原因と予防策
セラミック歯の寿命を縮める原因はさまざまです。1つでも原因を取り除くことができなければセラミック歯の寿命が縮まる恐れがあります。セラミック歯の寿命を縮める原因と予防策を詳しく見ていきましょう。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり・食いしばりによって、セラミック歯が摩耗します。歯ぎしり・食いしばりは就寝中に生じるため、意識して防ぐことは難しいでしょう。歯科医院では、オーダーメイドのマウスピースを就寝前に装着し、歯と歯が接触するのを防ぐ治療を行っています。
朝起きたときに顎にこわばりがある、食事のときに口を開けにくい、気づいたら歯を噛みしめているといった症状がある方は、歯科医師に相談してみてください。
噛み合わせの問題
噛み合わせの問題によって、セラミックが割れる場合があります。噛み合わせが悪い状態では、歯に強い力がかかるため、セラミックが割れてしまうのです。また、顎関節にも負担がかかり、頭痛や肩こり、腰痛などを引き起こす場合もあるため、できるだけ早く改善することが大切です。
強い衝撃を受けた
野球やサッカー、テニス、バレーボールなどでボールが歯に当たり、強い衝撃を受けた際も割れる恐れがあります。また、ラグビーやボクシングのようなスポーツでは、顔に衝撃を受けるケースが多いため、セラミックが割れるリスクが高いといえるでしょう。
このようなトラブルを防ぐには、スポーツ用のマウスピースを装着する必要があります。
虫歯・歯周病など歯が病気になった
セラミック治療をしたところが再び虫歯や歯周病になれば、セラミック歯の寿命を縮めることになります。理由として、セラミックを外して治療する必要があるためです。
セラミック歯の再発リスクはそれほど高くないものの、装着する歯との間に隙間があると、汚れが溜まりやすく再び虫歯になる危険性が生じます。セラミックと歯の接着が甘い場合も、再発リスクは高まります。また、適切なセルフケアができていないケースも同様です。
これらを防ぐには、まず高い技量を持った歯科技工士と連携していて、精密な型取りができる設備の整った歯科医院を選ぶことです。加えて半年に1度は、歯科医院でメンテナンスを受けましょう。歯科医院では、セルフケアでは落としきれない汚れを取り除き、セラミック歯の状態や噛み合わせもチェックしてもらえます。
歯ブラシ・フロスを怠っている
上記でも触れていますが、セルフケアが不十分な場合は汚れが溜まり、虫歯や歯周病の再発リスクを高め、状況によってはセラミックを外す必要が出てきます。セラミック歯の寿命を縮めないためには、正しい歯磨きのやり方とフロスの使い方を覚えることが大切です。
歯磨きのやり方と、フロスの使い方のポイントを以下にまとめました。
歯磨きのやり方
- 歯ブラシはヘッドが小さくやわらかめを選ぶ
- 毛先を歯の面に直角にあてる
- 毛先が立った状態のまま小刻みに動かす
- 1~2本ずつ磨く
- 歯と歯茎の境目には、毛先を45度の角度であてて動かす
- でこぼこした歯並びの場合は、歯ブラシを縦にあてて毛先を上下に動かす
- 奥歯が低い場合は、歯ブラシを斜め横から入れて動かす
フロスの使い方
- 歯茎を傷つけないようにフロスはゆっくり歯と歯の間に入れる
- 歯の側面に沿って前後左右に動かす
レントゲンでチェックするのもおすすめ
セラミックの下で、虫歯が広がっているかどうかを目視で判断するのは難しいため、1年に1度はレントゲン検査もしてみましょう。レントゲン検査をすれば、セラミックの下の状態をチェックできます。
定期的なレントゲン検査を考えた場合、放射線の被ばく量が気になる方もいるかもしれません。しかし、歯科医院で行うレントゲン検査での被ばく量は、胸のX線集団検診(1回0.05mSv)(*1)よりも少なく済みます。口の中にフィルムを入れて撮影する小さい写真は0.01mSv(*2)、口全体を撮影する大きな写真は0.03mSv(*3)です。
ただし、レントゲン検査では覚えておきたいポイントもあります。詰め物の場合はレントゲン検査で虫歯を判断できますが、被せ物は全て白く写ってしまうので、外してみないと虫歯かどうかわかりません。そのため、外して初めて虫歯に気がつくケースがほとんどです。
*1*2*3 出典:社団法人 東京都歯科医師会「歯科治療のX線撮影は安全です!」
東京先進医療クリニックでのセラミック歯の治療例
セラミック治療を検討している方は、東京先進医療クリニックに相談にご相談ください。当院では、さまざまな素材を用いたセラミック治療を提供しています。
参考までに、当院でのセラミック治療例を2つ紹介します。以下は、ジルコニアセラミックを使用した治療例です。上下16本を、ジルコニアセラミックでの被せ物としています。


また、次の治療例では上下20本が、天然歯と色味が近いとされるオールセラミックの被せ物です。白さや透明感を感じていただけるのではないでしょうか。


当院でのセラミック治療は、被せ物が1本104,500円~、詰め物が1本55,000円~ご利用いただけます。遠方の方向けに、交通費・宿泊費補助制度(全身麻酔で治療費100万円以上が対象)も用意していますので、セラミック治療をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
まとめ
セラミック歯は、審美性に優れている素材ですが、使用状況や口腔内の状況によっては短期間で寿命を迎えます。自費診療のセラミック治療は比較的高額な治療のため、寿命を縮めないように注意したいところです。セラミック治療を受ける前に、値段や寿命について歯科医師から詳しい話を聞きましょう。その上で、セラミック治療を受けるかどうかや、セラミック治療の種類を決めることが大切です。
東京先進医療クリニックについて

「治療中の苦しさや恐怖心は仕方がない」「歯科へは何度も通うもの」と思っていませんか?東京先進医療クリニックでは、患者様のストレスに徹底的に寄り添うことに努めています。全身麻酔による歯科治療が可能であることも、そのうちの一つです。
先進的な機器を揃えた設備と高度な技術を持った医師、スタッフ一同でご来院お待ちしております。
監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
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当院までのアクセス
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