
親知らずを抜歯すると、ドライソケットや唇の乾燥、喉の痛みなどの症状が出る方もいます。こうした症状には、それぞれ異なる方法での対処が必要です。この記事では、親知らず抜歯後の症状と対処法を解説します。
親知らず抜歯直後の症状
最初に、抜歯直後に出やすい3つの症状を見ていきましょう。
- 痛み
- 腫れ
- 出血
1: 痛み
親知らず抜歯後は、麻酔が切れると痛みを感じるようになる場合があります。抜歯から24時間後~3日程度が痛みのピークといわれています。歯科医院からは鎮痛剤が処方されますが、少し辛く感じた位のタイミングで飲むのがポイントです。痛みが強くなってからでは、鎮痛剤の効き目を感じにくくなるためです。
2: 腫れ
上顎の親知らずは、抜歯しても基本的にほとんど腫れません。しかし、下顎の骨は上顎の骨に比べて密度が高く硬いため、抜歯後に頬や歯茎が腫れやすいのが特徴です。とはいえ、腫れは3日~1週間ほどで治まるので、過度に心配する必要はありません。腫れた場合は、冷却ジェルシートなどで対処しますが、冷やし過ぎると血行が悪くなって治りも遅くなるため注意が必要です。
3: 出血
歯科医院で親知らずを抜歯した際は出血するため、丸めたガーゼをしっかり噛むことで止血します。一般的に出血が収まるまでにかかる時間は、10分~15分程度です。この方法は圧迫止血法と呼ばれ、止血効果が高い方法として知られています。
しかし、噛む力が弱いと再び出血する場合があります。自宅で再出血したときは、歯科医院での処置と同じように清潔なガーゼを硬く丸めて、20分~30分程度強く噛んで圧迫して止血しましょう。
親知らず抜歯後の注意点
親知らずの抜歯後は、次の4つのポイントに注意してください。これらに気を付けないと、抜歯後の傷口の治りが遅くなるリスクを高めてしまいます。
- うがいは優しい力で
- 傷口を触らない
- 柔らかいものを食べる
- 血行が良くなる行動は避ける
親知らず抜歯の費用や痛み、当日の流れなどが気になる方には、こちらの記事がおすすめです。
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1: うがいは優しい力で
強い力でうがいすると、できた血餅(けっぺい)が取れやすくなります。血餅とは、抜歯後にできる血の塊のことで、傷口を塞いで歯茎を守る役割を担っています。擦り傷の後にできる、かさぶたのようなものです。親知らず抜歯後2日~3日は、優しい力でのうがいを心がけましょう。
2: 傷口を触らない
抜歯した部分を舌や指で触って前述した血餅が取れてしまうと、治りが遅くなります。傷口に細菌が入り、感染症を引き起こす恐れもあります。抜歯した部分は気になりやすいものですが、できるだけ触らないようにしてください。
3: 柔らかいものを食べる
硬いものは抜歯した部分を傷つけるリスクが上がるため、抜歯後は柔らかいものを中心に食べることが重要です。麻酔が切れた後でも、数日程度は噛む感覚などが通常とは異なる場合もあるので、頬の内側や舌を噛まないようにも注意してください。
また、十分な栄養を摂らないと、体の抵抗力が低下して痛みや腫れにつながりやすくなります。そのため、柔らかいものを食べる際は、栄養バランスにも気を配りましょう。
4: 血行が良くなる行動は避ける
運動や長時間の入浴などは、血行を良くしてしまうので、痛みや出血の原因になります。親知らず抜歯後当日の入浴はシャワー程度とし、激しい運動も2日~3日は控えてください。
また、抜歯当日の飲酒や喫煙も良くありません。アルコールを摂取すると血管が広がって出血しやすくなり、タバコに含まれるニコチンなどは、毛細血管を収縮させて傷の治りを遅らせてしまいます。
親知らず抜歯後に起こりうる症状と対処法
記事冒頭で、抜歯「直後」に出やすいとされる3つの症状を紹介しましたが、抜歯後には次の6つの症状が引き起こされる場合もあります。
- ドライソケット
- 唇が乾燥する
- 発熱
- 喉の痛み
- 口を開けにくくなる
- 突起物が気になる
それぞれの症状の概要と対処法をまとめました。
1: ドライソケット
親知らずなどの抜歯した部分に血餅ができない、または取れて骨がむき出しの状態になることを、ドライソケットといいます。ドライソケットは、強い痛みが長く続くのが特徴です。
ドライソケットになった場合は、歯を抜いた部分を消毒し、抗生剤や鎮痛剤の服用で経過を見ます。痛みは1週間~2週間程度で引く傾向にありますが、痛みが引かなければ再掻爬(さいそうは)と呼ばれる処置が必要です。再掻爬は、抜歯した部分を引っ掻いて出血させ、血餅を作らせる処置です。
2: 唇が乾燥する
親知らずを中々抜歯できないときは、器具に力を入れる目的で、口を引っ張ることがあります。その際は、口を大きく開けることになるので、口角炎が心配されます。口角炎は唇が乾燥したり、ひび割れたりする病気です。
口角炎になっても、基本的には1週間程度で改善します。なお、親知らずの抜歯前に、リップクリームなどで唇を保湿しておくと、口角炎を予防しやすくなります。
3: 発熱
親知らず抜歯後の翌日から2日~3日程度は、発熱するケースも見られます。これは誰にでも起きることなので、特に心配する必要はありません。歯科医院で処方された抗生剤や消炎剤を服用し、安静にしていれば回復していきます。ただし、発熱が続く場合は感染やアレルギーが疑われるため、歯科医院に相談しましょう。
4: 喉の痛み
親知らず抜歯後は、唾や食べものを飲み込むときに痛みが生じる、嚥下痛(えんげつう)の発生も否定できません。嚥下痛は下の親知らず抜歯後に、起きやすいとされています。下の親知らずは喉に近い場所にあり、抜歯の際に歯茎の切開などで炎症が起きると喉まで広がりやすいため、痛みを引き起こします。とはいえ、痛みは1週間程度でなくなるのが一般的です。
嚥下痛の対処法では、まず軽いうがいで口の中を清潔に保つのが大切です。強い力でうがいしてしまうと、血餅が取れて痛みが生じる恐れがあります。喉の痛みがひどいケースでは、鎮痛剤の服用で対処します。
5: 口を開けにくくなる
親知らず抜歯後には、口を開けにくくなる開口障害も懸念されます。これは抜歯に伴い、口を開け閉めする咀嚼筋(そしゃくきん)にも炎症が及んで起きるものです。ほとんどの場合、1週間~10日程度で改善します。10日程度経過しても改善が見られないときは、歯科医院に相談してください。
6: 突起物が気になる
親知らずを抜歯した部分を舌で触ったときに尖ったものがある場合、それは歯槽の壁か、抜歯した歯の一部が残っていることが考えられます。歯槽とは、歯の根っこがはまっている顎の骨の穴です。
通常は何もしなくても、突起は気にならなくなります。しかし、改善しないときは平らにする処置や、残った歯を取り除く処置が検討されます。
親知らず抜歯後の穴が塞がる仕組み
親知らず抜歯後の穴に血餅ができることは説明しましたが、その後はどのようにして塞がるのでしょうか?
血餅は抜歯後2日程度で生成され、その中では徐々に血管と細胞が増殖し始めます。そして、抜歯後1週間頃から穴の中で新しい骨が作られるようになり、1ヵ月程度経つと骨で埋まります。以上が、親知らず抜歯後の穴が塞がる仕組みです。ただし、穴は塞がっても、穴の中の骨が周りの骨と同じような状態になるには、3ヵ月~5ヵ月程度かかるといわれています。
親知らず抜歯後の穴が塞がるまでの期間
親知らずを抜歯する際は、歯茎の切開を伴う場合と、そうでない場合に分かれ、それぞれ穴が塞がるまでの期間が異なります。
歯茎の切開を伴う抜歯の場合
親知らずがほとんど骨に埋まっている、虫歯が進行しているケースなどでは、歯茎の切開が必要です。この場合、穴が塞がるまでに1ヵ月~半年程度かかるとされています。歯茎の切開だけでなく、骨を削る必要もあるケースでは、親知らず抜歯後の穴はより大きくなるため、塞がるまでの期間はさらに長くなる傾向が見られます。
歯茎の切開を伴わない抜歯の場合
歯茎の切開が不要な場合は、1ヵ月程度で穴は塞がるといわれています。
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親知らずは虫歯や歯周病の原因になるため、早めの抜歯をおすすめします。
まとめ
親知らず抜歯後に何かしらの症状が出たら、それぞれに合った方法で適切に対処する必要があります。ドライソケットには傷口の消毒や抗生剤・鎮痛剤の服用、喉の痛みには優しい力でのうがいといった形です。とはいえ、どのように対処して良いかわからない場合もあるでしょう。そのようなときは、信頼できる歯科医師への相談が解決への近道になります。
東京先進医療クリニックについて

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監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
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