
歯列矯正をした方の中には、「やらなきゃよかった……」と後悔する方もいます。そう思う理由でよく聞かれるのは、「治療期間が長かった」「矯正後に前の状態に戻ってしまった」「矯正後の方が見た目が悪くなった」といったものです。このように歯列矯正で失敗したくない場合は、自分で正しい知識を身に付けたり、丁寧に説明してくれる歯科医院を選んだりすることが大切です。この記事では、歯列矯正を後悔する理由、歯列矯正で失敗しないための6つのポイント、歯列矯正の治療法などを解説します。
歯列矯正って何?
最初に、歯列矯正の概要をおさらいしておきましょう。
歯列矯正とは、歯並びや噛み合わせの悪さを改善する治療のことです。歯並びや噛み合わせに問題があると、食事の際にきちんと噛めない、虫歯や歯周病になりやすくなるなどのデメリットが生じます。見た目への悪影響も懸念されるため、人前で口を大きく開けて笑えなかったり、常にうつむきがちになったりする方がいるのも特徴です。歯列矯正には、これらを解決できる可能性があります。
「歯列矯正をやらなきゃよかった…」と後悔する人はいるの?
歯列矯正はさまざまな問題を解決しやすいものの、治療後に「やらなきゃよかった……」と後悔する方もいます。そこで、後悔する理由としてよく挙げられるものを11個お伝えします。
下記記事では、歯列矯正の4つの失敗例と、失敗を回避するためにできる2つのことを紹介していますので、併せてチェックしてみてください。
- あわせて読みたい歯科矯正の失敗例と回避するためにできることを紹介
1: 治療期間が長かった
治療期間が思ったよりも長くかかってしまい、「やらなきゃよかった……」と感じる方がいます。歯列矯正は、基本的に弱い力で徐々に歯を動かすため、一定の期間を必要とします。ちなみに、一般的な歯列矯正にかかる期間の目安は2年〜3年です。
また、事前の計画よりも時間がかかる場合もあります。例えば、虫歯や歯周病の治療が必要になった、矯正装置を正しく装着しておらず想定通りに歯を動かせなかった、といった事態は治療期間が長引く原因になります。
2: 矯正後に前の状態に戻ってしまった
歯列矯正後しばらくしてから歯並びが元に戻ったことを、後悔の理由に挙げる方もいます。理想的な場所に移動した歯が、矯正前の位置に戻る現象を「後戻り」といいます。
後戻りの原因として考えられるのは、保定装置の装着が不十分だったことです。歯列矯正が終えた直後は、まだ骨が安定した状態ではありません。このままでは歯が動きやすいので、一定期間は保定装置を付けておく必要があります。しかし、治療自体は終わったからと、保定装置を放置してしまうと、後戻りしやすくなります。
3: 矯正後の方が見た目が悪くなった
歯列矯正は、歯科医師と治療後のイメージをきちんと共有していないと、見た目が悪くなったと感じて後悔する場合があります。
そもそも歯列矯正は、歯並びや噛み合わせの改善を目的とする治療です。しかし、歯並びなどよりも、見た目を優先したい患者さまもいます。そうなると、歯並びなどは改善されても「やらなきゃよかった……」と、後悔する方が出てきてしまうのです。
これを防ぐためには、治療前に歯科医師と何を重視して歯列矯正をするのか、時間をかけて話し合っておくことが重要です。
4: 口元が下がりすぎた
歯列矯正によって、口元が下がりすぎる方もいます。これは、Eラインをきちんと考慮していなかったことが、主な原因として考えられます。Eラインとは顔を横から見て、鼻先と下顎の先を結んだ線のことです。横顔の美しさを判断する基準のひとつとされ、Eライン上のやや内側に唇がある状態が理想的といわれています。このEラインを、歯列矯正前にきちんと分析せずに治療が進められると、口元が下がりすぎるリスクが高まります。
5: 鼻の下が伸びてしまった
出っ歯などの理由で上の前歯を後ろに移動させると、鼻の下が伸びてしまうことがあります。それまで前歯で持ち上げられていた上唇が、歯列矯正後に下がることで起こりますが、実際に鼻の下は伸びていなくても、伸びたように見えてしまうのが特徴です。
このケースで後悔しないように気を付けたいのは、元から鼻の下が長い方です。歯列矯正後は、さらに長く見えるようになる恐れがあるため、上の前歯の下げすぎには注意してください。
6: 歯と歯の間に隙間ができてしまった
歯列矯正をしたことで、歯と歯の間に隙間(ブラックトライアングル)ができてしまって「やらなきゃよかった……」と後悔する方もいます。
歯は根っこに近づくほど細くなりますが、細くなる傾向が強い歯をきれいに並べたときに、隙間はできやすくなります。そのため、歯が重なっていることが、隙間ができる主な原因です。
歯と歯の間の隙間は、レジンという歯科用プラスチック素材で埋めるダイレクトボンディングなどで対策できる可能性があります。
7: 歯茎が痩せてしまった
歯列矯正には歯根吸収のリスクがあり、これにより歯茎が痩せるケースも見られます。歯根吸収とは、歯の根っこが吸収されて短くなる状態のことです。歯並びなどは良くなっても、歯根吸収によって歯茎が痩せてしまい、歯列矯正をやらなきゃよかったと思う方もいます。
歯列矯正は、矯正力が強すぎても弱すぎてもよくありません。一定の許容範囲内で歯を動かす必要はあるものの、力が強すぎると歯根吸収の原因になります。また、歯列矯正は歯を揺らしながら動かす、ジグリングと呼ばれる現象を繰り返して行われますが、この動きに無駄があると、歯根吸収のリスクは高まるといわれています。
8: 矯正前よりも噛みにくくなった
歯列矯正後に「噛みにくくなって後悔した……」との意見も聞かれます。これは、歯列矯正で噛み合わせが変化し、それまでとは筋肉の使い方や歯の接地面積も変わることが原因です。
しっかり噛めなければ筋肉は弱り、歯の接地面積が小さいと噛めていないと感じやすくなります。しかし、ほとんどの場合はある程度時間が経過して慣れると、しっかり噛めるようになるとされています。
9: 顎関節症になった
歯列矯正をする方の中には、噛み合わせの悪さから顎に問題を抱えている方もいます。歯列矯正で噛み合わせが改善されれば良いものの、矯正後の顎の位置に順応できない場合に、顎関節症を発症することがあります。
顎関節症は、次のような症状が出る病気です。
- 顎や顎を動かす筋肉が痛む
- 口を大きく開けられない
- 口を開けたり閉めたりする際に顎関節に雑音が生じる
顎関節症を避けるには、自分に合った顎の位置を見極める必要があり、そのためには歯列矯正の経験が豊富な歯科医師に相談が重要です。
10: 虫歯や歯周病になってしまった
歯列矯正は矯正装置を付けることで、虫歯や歯周病になるリスクが高まる場合もあります。注意が必要なのは、固定式の矯正装置を使用するケースです。自分では矯正装置を外せないため、付けたまま歯磨きをしなければならず、その結果汚れが残りやすくなるからです。
虫歯などが進行してしまえば、歯列矯正を中断してそちらの治療を優先しなければなりません。とはいえ、毎日の歯磨きを丁寧にしたり、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けたりすると、虫歯や歯周病になるリスクは抑えやすくなると考えられます。
11: 歯の神経が死んでしまった
それほど多くはないものの、歯列矯正中に歯の神経が死んでしまったことを、後悔する理由に挙げる方もいます。これは歯を動かす力が強すぎたり、スピードが速すぎたりして神経が切れてしまったことが主な原因です。矯正中に虫歯が進行し、神経まで届いてしまって死ぬ場合もあります。
歯列矯正は、適切な力やスピードで行うのがポイントになるため、矯正治療専門の歯科医師を選ぶことが予防策のひとつです。また、矯正中の虫歯を防ぐには、普段の歯磨きや歯科医院でのメンテナンスが重要になります。
歯列矯正で失敗しないために
これから歯列矯正をする方が「やらなきゃよかった……」と後悔しないためには、どうすれば良いのでしょうか?ここからは、歯列矯正で失敗しないためのポイントを6つ解説します。
1: 歯列矯正の知識を身につける
歯列矯正を検討している場合、まず自分で調べて正しい知識を身に付けるのが重要です。例えば、矯正方法や検査の種類などがわかっていれば、自分に合った歯科医院を選ぶ際に役立ちます。この他にも以下のような知識があれば、歯科医師とコミュニケーションを取りやすくなるため、矯正後に後悔しにくくなると考えられます。
- 治療費の相場
- 治療期間の目安
- 歯列矯正のリスク
- どういったときに抜歯は必要か など
2: デメリットも参考にする
歯列矯正について調べる際は、口元が整う、横顔が綺麗になるなど、メリットばかりに目を向けるのはよくありません。歯列矯正には、次のようなデメリットもあるためです。
- 初めて矯正装置を付けたときは違和感が生じやすい
- 矯正装置がこすれて口内炎ができることがある
- 固定式の矯正装置は歯を磨きにくい など
デメリットがないように宣伝している歯科医院を見つけた場合は、適切な歯列矯正が行われない恐れがあるので注意してください。
3: 治療内容やリスクを丁寧に説明してくれる歯科医院を選ぶ
コミュニケーション不足による失敗を避けるには、丁寧にカウンセリングをしてくれる歯科医院を選ぶことが大切です。歯科医師やスタッフが親身になって話を聞いてくれるようであれば、信頼できる歯科医院だと判断しやすくなります。
歯科医院を見極める際のポイントは、わからない内容や不安に思っている要素があれば、何でも聞いてみることです。治療内容やリスクの説明が不十分だった、あまり良い対応ではなかったと感じた場合は、他の歯科医院を検討した方が良いといえます。
4: 歯列矯正が専門の歯科医師がいる歯科医院を選ぶ
日本では歯科医師免許を持っていれば、誰でも歯列矯正ができるため、診療科目を見ただけでは矯正治療の高い技術を持っているかは判断できません。そこで参考にしたいのが、日本矯正歯科学会が定める臨床指導医(専門医)や認定医といった資格の有無です。
臨床指導医などは、矯正治療に関する十分な知識や経験を持っていることの証明になるので、失敗を避けるための目安のひとつにできます。
5: 詳しく検査する歯科医院を選ぶ
歯列矯正で良い結果を得るためには、複数の精密検査が必要です。もし、十分な検査を行わない歯科医院があれば、歯列矯正は失敗してしまうかもしれません。
歯列矯正に必要な検査は、おおむね次の通りです。
- 歯列模型
- 口腔内写真
- 顔貌写真
- パノラマレントゲン
- セファロレントゲン
- 頭部CT
模型やレントゲンのみで適切に診断するのは難しいといわれているので、どのような検査をしているかも、歯科医院を選ぶ際には確認してみてください。
6: 口コミだけで選ばない
インターネット上の口コミのみを参考にして、歯科医院を選ぶのは避けるべきです。第三者の意見としては貴重ですが、口コミはあくまでもその歯科医院を利用した人の一部に過ぎないため、失敗の確率を高めてしまいます。歯科医院選びでは、口コミ以外にホームページに掲載されている症例を見る、無料相談を利用して実際に話を聞いてみることも大切です。
歯列矯正の治療法種類
歯列矯正をするといっても、その治療法にはさまざまな種類があります。次は、歯列矯正の5つの治療法を見ていきましょう。
1: ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯に装着し、そこに矯正用のワイヤーを通して弱い力で歯を動かしていく治療法です。ブラケットを歯の表側に装着するので、表側矯正とも呼ばれます。
さまざまな歯並びに対応できることから、選ばれやすい治療法といえます。しかし、矯正装置が目立つ、食事や歯磨きがしにくいといった点がデメリットです。一般的に、ワイヤー矯正は60万円~130万円程度かかります。
2: 裏側矯正
ブラケットとワイヤーを、歯の裏側に装着して矯正するのが裏側矯正です。通常のワイヤー矯正(表側矯正)では矯正装置が目立ちますが、裏側矯正は人から気付かれにくいのが特徴です。表側矯正よりも虫歯になりにくい、悪い歯並びの原因になる舌癖を改善しやすいなどのメリットもあります。
デメリットは通常のワイヤー矯正よりも、治療費が高額になる、滑舌に影響が出る場合がある、治療期間もやや長くなる傾向があることなどです。裏側矯正の治療費は100万円~170万円程度が相場です。
3: マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明のマウスピース型の矯正装置を装着して歯を動かす治療法です。メリットは目立ちにくい、ワイヤー矯正とは異なり食事中は外せる、きちんと歯磨きができる、ワイヤー矯正に比べて費用を抑えやすいことなどです。
ただし、難しい症例には対応できず、長時間(1日20時間~22時間以上)装着する必要があります。治療費は70万円~120万円程度かかるのが一般的です。
4: ハーフリンガル矯正
上顎は裏側矯正、下顎は表側矯正するのがハーフリンガル矯正です。表側矯正のみよりも目立ちにくく、上下両方を裏側矯正するよりも費用が安く済みやすいのがメリットです。それに治療期間が短期間で済み、下は表側矯正なので裏側矯正のみよりも滑舌への影響や違和感が少ないといわれています。
とはいえ、表側矯正のみに比べると治療費が高い傾向にあり、矯正装置は自分で取り外しができないため歯を磨きにくいデメリットも持ち合わせています。治療費の目安は80万円〜150万円程度です。
5: 外科矯正
外科矯正とは、外科手術を伴う矯正治療のことです。外科矯正のメリットには、難しい症例にも対応できる、保険が適用されるといった点が挙げられます。
しかし、全身麻酔による合併症(吐き気や悪寒など)のリスクが懸念され、下顎に知覚麻痺(口が開かない、麻痺、しびれなど)が残る恐れもあります。
外科矯正の相場は、矯正治療が3割負担で30万円程度、入院手術は3割負担で20万円~35万円程度です。入院手術にかかる費用は高額療養費制度の対象になるため、申請すれば一部が払い戻されます。
症例別の治療法
歯列矯正が必要な場合、歯並びや噛み合わせによって選ぶべき治療法は異なります。以下の表では、症例ごとに概要と適していると考えられる治療法をまとめました。
症例 | 概要 | 治療法 |
---|---|---|
上顎前突 (じょうがくぜんとつ) |
|
|
叢生 (そうせい) |
|
|
空隙歯列 (くうげきしれつ) |
|
|
過蓋咬合 (かがいこうごう) |
|
|
開咬 (かいこう) |
|
|
下顎前突 (かがくぜんとつ) |
|
|
歯列矯正を考えている人の「よくある質問」
歯列矯正についてよくある質問と、その答えをまとめました。歯列矯正を検討している方は、参考にしてみてください。
1: 健康保険はきかないの?
歯列矯正には基本的に健康保険が適用されないため、自費診療となります。ただし、先天的な疾患(顎変形症や唇顎口蓋裂など)がある場合や、出っ歯・開咬などで骨格からの改善が必要な場合には健康保険が適用されます。
2: 子どもと大人の歯列矯正は何が違うの?
子どもの歯列矯正は、歯と顎の発育を促進したり抑制したりしながら、正しく成長できるように導くものです。一方で大人の歯列矯正は、完成した顎の大きさを基準として、歯を並べたり下げたりして治療するものです。
3: 矯正中にスポーツや楽器の演奏はできる?
ほとんどのスポーツは問題なくできるとされていますが、楽器は種類によってある程度の慣れを必要とします。特に小さいマウスピースを使用する金管楽器や、シングルリードの木管楽器は音を出しにくくなるかもしれません。とはいえ、演奏会などの日程を考慮して矯正治療を進めることも可能です。
やらなきゃよかったと後悔したくないなら【東京先進医療クリニック】
歯列矯正で後悔したくない方は、東京先進医療クリニックのマウスピース矯正を検討してみてはいかがでしょうか?
当院のマウスピース矯正では、一人ひとりに合った精密で透明なマウスピースを作成して、歯並びや噛み合わせの改善を目指します。
また、当院は無料カウンセリングに時間をかけて、患者さまが歯列矯正をやらなきゃよかったと後悔する確率を下げられるよう努めています。歯列矯正で後悔したくない方は、お気軽に当院までご連絡ください。
まとめ
歯列矯正をしても、治療期間が長かった・口元が下がりすぎた・矯正前よりも噛みにくくなったなどと感じて、やらなきゃよかったと後悔する方もいます。こうした失敗を避けるには、自分で歯列矯正の知識を身に付けたり、歯列矯正専門の歯科医師がいる歯科医院を選んだりすることなどが重要です。高額の治療費を無駄にしないためにも、歯列矯正はポイントを押さえて受けるようにしましょう。
東京先進医療クリニックについて

「治療中の苦しさや恐怖心は仕方がない」「歯科へは何度も通うもの」と思っていませんか?東京先進医療クリニックでは、患者様のストレスに徹底的に寄り添うことに努めています。全身麻酔による歯科治療が可能であることも、そのうちの一つです。
先進的な機器を揃えた設備と高度な技術を持った医師、スタッフ一同でご来院お待ちしております。
監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
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