
インプラントは、入れ歯やブリッジに比べて十分な力をかけて噛めたり、審美的にも優れていたりと、さまざまなメリットがあるといわれています。しかし、インプラント手術後は、どのくらいの期間使用できるかも重要なポイントです。ここでは、インプラントの寿命について、また定期メンテナンスや再手術についても解説します。
インプラントの寿命は?
インプラントがどのくらい使用できるかどうかは、一概にはいえません。なぜなら、体内に埋め込まれるため、人それぞれの体質の違いやメンテナンスの仕方で、大きく左右されるからです。一般的にインプラントは長持ちするといわれますが、大切なのは定期的なメンテナンスです。メンテナンスを受けることで使用状況をチェックでき、寿命を少しでも伸ばすための改善策をとることもできます。
インプラントの平均寿命は?
インプラントの平均寿命について解説する前に、インプラントがそもそもどのような構造になっているかを説明します。メーカーによって若干の違いはありますが、インプラントは基本的に3つの部分から成り立っています。骨に埋入させる「インプラント体」、外から見える上部構造「人工歯」、そして上部構造とインプラント体を接続させる「アバットメント」です。この中で最も重要なのは、インプラント体です。もし、インプラント体が外れてしまえば、人工歯も機能しなくなります。そして、平均して10~15年経過すると、インプラント体が使えなくなるといわれています。もっとも上述したように、定期的なメンテナンスを行えば、平均寿命以上に使用しつづけることも十分可能です。
入れ歯やブリッジの寿命と比べると?
入れ歯の平均寿命は5~6年、ブリッジは7~8年といわれています。入れ歯の場合、歯のない骨が痩せてしまい、合わなくなるケースがあります。また、ブリッジの場合は失われた歯の両隣の歯に負担をかけ続けたり、ケアをしているつもりでも虫歯になったりなどで寿命を迎えます。
このように入れ歯やブリッジの寿命と比べると、インプラントの寿命は2~3倍、あるいはそれ以上長く使用できるのです。
インプラントの寿命を延ばすための対策
装着したインプラントの寿命を、少しでも延ばすための対策についてご紹介します。
定期的なメンテナンスを受ける
自動車や電化製品でも、定期的なメンテナンスを行うことで使用期間を延ばせますが、インプラントも同じです。
上述したように、インプラント体が骨から外れると、インプラントは寿命を迎えます。その原因として考えられるのは、インプラント周囲炎と呼ばれる感染症です。インプラントの清掃やメンテナンスが不足すると、歯垢がたまって歯周ポケットが形成されます。そこに歯周病菌が入り込み炎症が起きると、インプラント体を支えている骨も破壊され、支えを失ったインプラント体が脱落してしまうのです。
また別の原因として、噛み合わせの不具合も考えられます。インプラント手術を行った際に、噛み合わせはしっかり調整しているはずですが、時間の経過とともにズレてしまう場合があります。例えば、食習慣や咀嚼の仕方などで、徐々にインプラントの特定部分のみに過大な負荷がかかり、インプラント体が外れることもあり得ます。
過大な力をかける別の原因として、歯ぎしりや食いしばりも考えられます。多くの場合、これらの習慣は睡眠中に行われるため、自分では自覚できないことがほとんどです。そのため知らない間に、インプラントへ無理な力がかかっていることがあり得ます。
こうした噛み合わせの不具合やインプラントへの過大な負荷は、定期的なメンテナンスを受けることで発見可能です。そして不具合を調整やマウスピース装着などで、インプラントの状態を良好に保つことで、平均寿命以上に長持ちさせられるのです。
正しいケアを毎日行う
インプラントは入れ歯と異なり、毎日取り外して清掃する必要がありません。その点はケアが比較的楽だといわれていますが、ケアが不要な訳ではありません。天然の歯が毎日の歯磨きが大切であるように、インプラントも毎日汚れを落とす必要があります。その際、単に見える部分を磨けばよいわけではありません。歯周病菌の侵入を防ぐための正しい歯磨きの仕方がありますので、歯科医の指導に従いましょう。また、場合によっては歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスを使ったケアも必要になります。
喫煙を減らす
喫煙が体に有害であることは周知の事実ですが、インプラントにも悪影響があります。タバコに含まれている、ニコチンなどの有害物質が体内に取り込まれると、インプラント患部の血流も悪くなります。結果的に、インプラント体と骨の結合を弱めてしまい、脱落するリスクを高めてしまうのです。
理想は禁煙することですが、少なくともインプラント手術前よりも喫煙量は減らす必要があるでしょう。
インプラントの再手術について
インプラント体が骨から外れた場合、インプラントの再手術を受けなければなりません。多くの歯科医院では、インプラントの再手術に関して一定の保証期間を設けています。その保証期間内では、無料で再手術を受けられる場合もあります。ただし、歯科医院が定期的なメンテナンスを勧めているにもかかわらず、全く通院しないなど患者さん側に明らかな落ち度がある場合は、保証対象外になる場合もあります。きちんと保証を受けるためにも、定期的なメンテナンスは必須といえるでしょう。
まとめ
インプラントの寿命や、寿命を延ばす3つの対策、再手術について解説しました。インプラントは費用が高く、麻酔を伴う手術を要するため、信頼できる歯科医院を選ぶことが重要です。また、インプラントではなくセラミックで解決できる場合もあるため、自身に合った治療プランをしっかりと提案してくれる歯科医院を見つけましょう。
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監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
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