
歯科矯正は基本的に自由診療であり、保険診療の適用がないため費用が高額になりがちです。その経済的負担ゆえに歯科矯正をするかどうか、二の足を踏んでいらっしゃる方も多いことでしょう。しかし、歯科矯正に保険診療の適用がないわけではありません。以下では矯正治療が原則として自由診療になる理由と、保険診療が適用される条件について解説いたします。
治療目的を除き、矯正治療は自己負担の治療
矯正治療は主に審美目的であるとされています。つまり、基本的に見た目をきれいにするための治療であり、ケガや病気などを治療するためでないため、国民健康保険などの公的医療保険が適用されません。そのため、矯正治療における初回カウンセリング料をはじめ、検査・診断料、装置料、加えて定期的な調整にかかる費用はすべて自己負担になります。
また、矯正治療のために虫歯や歯周病の治療が必要な場合も保険適用外になってしまう場合があります。本来、虫歯や歯周病だけの治療であれば保険が適用されるにもかかわらず、矯正治療の一部に組み込まれることで適用から外れる可能性があり、全額自己負担になることがあるのです。
保険適用される症例とは
では、例外的にどんな症例で保険適用されるのでしょうか?以下のように定められています。
①「厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
②顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・手術後の矯正歯科治療
③前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合の異常(埋伏歯開窓術が必要なものに限る)に対する矯正歯科治療
出典:公益社団法人 日本矯正歯科学会(矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは より)
以下、具体的に解説いたしましょう。
先天性の異常
厚生労働大臣が定める疾患は、唇顎口蓋裂、ゴールデンハー症候群、ダウン症候群など全部で59疾患に及びます。すべての疾患について取り上げることはできないため、ここでは唇顎口蓋裂、ダウン症候群、筋ジストロフィーについてピックアップいたします。
■唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)
唇や口の中が先天的に割れている疾患です。唇が割れている「口唇裂(こうしんれつ)」、口腔と鼻腔がつながったようになる「口蓋裂(こうがいれつ)」、顎の骨が裂けている顎裂(がくれつ)の症状をすべて含んだものが唇顎口蓋裂です。
矯正治療で噛み合わせをよくしたり顔のバランスを整えたりします。
■ダウン症候群
ダウン症候群は通常46本の染色体が47本(21番目の染色体が1本多く)あるために生じる先天的異常で、約800人から1000人に1人の割合で生まれるといわれています。先天的に口蓋が狭かったり、上顎の成長が不十分だったりすることがあるため、歯科矯正が必要になる場合があります。
■筋ジストロフィー
筋ジストロフィーは遺伝性疾患で、骨格筋の進行性萎縮と筋力低下を特徴とします。歯並びや噛み合わせの異常を伴うことがあるため、歯科矯正に保険が適用されます。
顎変形症
顎変形症とは、顎の骨の形や大きさ、位置などの異常が原因で、歯の噛み合わせに問題が出ている状態を指します。顎変形症には先天的異常の場合と、指しゃぶりや舌癖など後天的な要素に起因する場合があるようです。
しかし、顎の形や大きさに異常があるだけで保険適用になるわけではなく、上述したように顎離断などの顎の骨を切る外科的な手術を要する場合に限られています。さらに保険適用で顎変形症の治療を行うことができる医療機関は限られている点にも注意が必要です。指定された検査機器や人員配置がなされていること、外科手術を担当する医療機関および矯正治療を担当する医療機関との連携体制が構築されていることなどが条件とされています。
噛み合わせの異常
上述したように保険適用される条件は「永久歯萌出不全に起因した噛み合わせの異常」であり、幼少期の歯の生え変わり時期に生じた異常を指します。「永久歯萌出不全」とは乳歯から永久歯に生え変わる時期に、永久歯が歯茎の中に埋没したまま出てこない状態を指しています。この永久歯を外に引き出すためには「埋伏歯開窓術」という手術が必要ですが、それに加えて歯並びを整えるために歯科矯正を行う場合があります。
治療別の歯科矯正の費用
例外的に保険が適用されるケースを除いて歯科矯正は自己負担になりますが、その場合の費用の目安についてご紹介します。
・ワイヤー矯正:奥歯を含む全体矯正の場合は約18万~100万円
・裏側矯正:奥歯を含む全体矯正の場合は約30万~150万円
・マウスピース矯正:上下の前歯を中心とした場合は約10~70万円
奥歯を含む全体の場合は約50~100万円
歯並びや症状は人によって異なるため、必要とされる矯正治療も大きく異なります。あくまでも目安であることをご承知おきください。
※ 尚、当院ではワイヤー矯正歯科はお取り扱いしておりませんが、お一人ひとりの口腔状態に合わせて必要な矯正施術内容をご提案させて頂きますので、まずはお気軽にご相談ください。
各施術の費用について詳しくはこちら
まとめ
以上、歯科矯正が原則として保険診療の対象にならない理由について、また例外的に保険診療の対象になる3つのケースについて解説いたしました。費用が足かせになって、自分やお子さんに本当に必要な治療を控えることがないよう、上記の資料を参考に歯科医ともご相談するようにしてください。
東京先進医療クリニックについて

「治療中の苦しさや恐怖心は仕方がない」「歯科へは何度も通うもの」と思っていませんか?東京先進医療クリニックでは、患者様のストレスに徹底的に寄り添うことに努めています。全身麻酔による歯科治療が可能であることも、そのうちの一つです。
先進的な機器を揃えた設備と高度な技術を持った医師、スタッフ一同でご来院お待ちしております。
監修ドクターの紹介

学歴
2003年 愛知学院大学歯学部 卒業
経歴
2003年 医療法人林歯科医院 勤務
2009年 ロイヤルデンタル林 開業
2016年 中之島デンタルクリニック 院長
2018年 東京先進医療クリニック 入職
資格
Invisalign CERTIFICATE
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